逆説
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薄気味悪い夜の学校。
そのグラウンドに彼らはいた。
「いいかてめーら!!何が何でも勝つぜ!!」
「おい、何言ってんだ?戦うのはヒバリだせ」
「お前がいきり立ってどーするのだ?」
「やけに張り切ってはりますね…」
「ぐっ。んなこた、わーってんだよ!!」
気合いを入れる獄寺に対し、山本と了平、零は冷静に返す。言葉に詰まった獄寺は、キリッとした表情で言う。
「10代目はオレらを信頼して留守にしてんだ。オレらの目の前で黒星を喫するわけには、いかねーだろーが!!」
「ハハハ!変な理屈だな」
「てめーには一生わかんねーよ!!このっバカッ!!」
「タコヘッド!!オレもわからんがなぜか燃えてきたぞ!!」
「(元気な人らやな…)」
彼らのやり取りを肩を竦めて眺めると、会話をしていたハズの山本が急に零の方を向いた。
「?」
「お嬢。もう歩いて大丈夫なのか?」
「……ああ、平気でっせ。頑丈さが取り柄やから」
「―――そっか」
微笑する零に、山本はそれ以上何も言わずいつも通り笑った。
「今日の主役の登場だぜ」
言われて顔を向ければ、学ランを肩に掛け、その学ランの腕に『風紀』の腕章を付けた―――雲雀恭弥が来た。
「君達……何の群れ?」
「んだと、てめー!」
「まーまー。えーと、オレ達は…」
「応援に来たぞ!!」
「ふぅん…」
興味なさそうに呟くと、雲雀は流し目で睨む。
「目障りだ。消えないと殺すよ」
「なんだその物言いは!!極限にプンスカだぞ!!」
思いやりの欠片もない雲雀の言葉に、獄寺に続き了平までおこり出した。一人笑顔を保つ山本と零が仲裁に入る。
「まーまー、落ち着けって。オレ達はぐーぜん通りかかっただけだから。気にすんなヒバリッ、なっ」
「偶然通り掛かったはムリありはるでしょ、山本先輩…」
「―――御影零」
フルネームで呼ばれた零は、呼んだ人物と目を合わせる。
仏頂面の雲雀。
零と目が合うと口を開いた。
「僕と再戦するまでに、負けたら咬み殺すから」
「……!」
零が何か返事をする前に、ザッとヴァリアーが姿を現す。
「そうか…あれを、
咬み殺せばいいんだ」
口角を上げ、雲雀はトンファーを取り出す。
視界に映るのは、グォングォンと機械音がするゴーラ・モスカ。
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