逆説
□34
1ページ/6ページ
地下のアジトとやらに案内され、沢田先輩は肩に風穴が空いていて、すぐに治療へ回された。残された自分らは、リボーンからこの状況を知らされた。
分からんかった単語がいっぱい出てきたけど(10年バズーカとかミルフィオーレやとか匣やとかいろいろ)………要は―――絶望的な未来にタイムスリップした、ってことらしい。
「そ、そんな……ッ」
「……っハルちゃん…」
一緒に話を聞いてた三浦先輩が、真っ青な顔で呟いた。横で気遣かっている笹川先輩の顔色も悪い。
―――無理もない。
自分達の未来が、血に濡れた荊道やったんやから。
「…ハ、ハル…ツナさんに会いたいです…!」
「……医務室だ。行ってこい」
縋るような声に、リボーンが静かに出口を指す。
すぐ出ていった三浦先輩と笹川先輩。残ったのは自分と山本先輩とリボーン(関係ないし雰囲気ブチ壊すけど、その全身タイツみたいな服はナニ?)。
沈黙がその場に流れ、不意にそれを破ったのはリボーンだった。
「…オメー等は意外と落ち着いてんだな」
「ん?…そうでもないぜ。内心焦ってるしな」
「…右に同じく。ただ、泣いても喚いても帰られへんねや。今はこの状況を受け入れるしかないやろ」
肩を竦めて言うと、リボーンが小さく笑って「零らしいな」と言う。………自分らしいって何スか。
「なあ、小僧」
「何だ?」
「……親父、も…やられたって本当か?」
「…………ああ」
「…そうか…」
山本先輩は、滅多に見せない表情をしていた。
怒りと、悲しみと、不安と、焦燥と、驚愕が混じったような……何とも言えない複雑な表情。
「何か…信じられねーな」
「…………」
「…そうも言ってられねーな!………お嬢ンとこの…玄さんも、やられちまったしな…」
「……………」
―――そう。
自分の祖父ちゃんや祖母ちゃんも、殺された。
自分の親族やから。
ボンゴレ狩りは―――幹部に関わった人間を殺す。
笹川兄先輩も連絡が取れず、沢田先輩のお母さんの連絡が取れず、ボンゴレの関係者が死んでいく。
.