逆説
□36
1ページ/5ページ
「あの…」
「何だ」
地下に繋がるエレベーターに乗っている時、ツナがおずおずとラル・ミルチに問い掛けた。
「御影さんはいないんですか?」
「そうだな、お嬢がいないのな」
ツナの言葉に同意した山本。発言はしないものの、獄寺も同意見のようで小さく頷いている。
ラル・ミルチは三人に背を向けたまま応える。
「…あいつにオレの指導はいらん」
「え?」
「闇の炎は規格外だ。謎が深く、はっきり言って理解出来ん。そして獰猛で凶悪―――口出しも手出しも、オレには無理だ」
ラル・ミルチの言葉に三人の顔色が驚愕に変わる。話を聞いていたリボーンも何やら思案顔でいた。
「なら、あいつはどーすんだ?」
「……この時代の御影が何かしら手立てを残している筈だ。オレは直接会ったことはないが、あいつは幹部の中で客観的に、もっとも冷静な判断を下していた」
問題ない筈だ、とラル・ミルチが言う。
ツナは予想以上に零が優秀であることに目を見開いている。山本はいつも通りに「すげーのな」と言っているし、獄寺は零が幹部の中でもっとも冷静な判断を下しているというくだりにライバル心を燃やしている。
三者三様の反応をする面子に、ラル・ミルチが溜息を吐いた。
そんな中で、リボーンだけがシニカルに笑みを浮かべていた。
「(守護者の中でもっとも謎深い零……どーでるか見物だな)」
.