黒き憂鬱

□序章 零話
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鋭い眼に何事にも興味なさ気な表情。つまらなさそうにへの字に歪めた口許はきっちり引き結ばれている。
無表情と呼ぶまでには至らないにせよ、特にどう呼ぶべきではない表情をその美貌とも言うべきそれに浮かべていた。
彼を見た者は、大半の者がこういうだろう。「とっつきにくそう」だと。人を寄せ付けないオーラすら、彼にはあった。
彼の名前は夜玖。風無夜玖だ。彼の立っている場所は平凡すぎる程平凡な、中学校の門前だった。

「ボンゴレ程の実力を持ったファミリーのボスが、こんな平凡な学校に通っているだと・・・?」

夜玖は呆然とまではいかないものの、少なからず驚いている様子で、学校の様相を見渡した。
今はまだ登校中の生徒が大勢居る時間帯。そんな生徒達は堂々たるまでに立つ彼に、ちらりと見遣る者もあれば主に女子で、
じっくり嘗め回すように見つめる者もある。注目の的である夜玖は、そんな視線を無視して門の中へと踏み出した。

そんな彼を、他の生徒達とは全く違う場所で見る小さな影に、彼は気付かなかった。




俺の歯車が狂い始めたのが一体いつだったかは、判らない。



(書き手:管理人B)



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