黒き憂鬱

□第一章 壱話
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授業



ああ、だるい。教師の話も詰まらないしノートをとる必要性も見出せない。
この上何をやれというのか。


「おい、風無、聞いてるのか?」


やる事もなく窓から空を見上げていたら、突然教師に名前を呼ばれた。
舌打ちしたくなる気持ちを抑えて、にこやかに極上の笑みを浮かべて答える。


「はい」


クラス全員、果ては教師までもがその笑顔に見惚れた。
が、授業中の今見惚れている場合ではない。教師としてだらけている生徒は正さねばなるまい。
と、その通りではあるが変な義務感を持っているその教師。


「なら教科書61ページを読んでみなさい」


先程までは鼻の下を伸ばしそちらがだらしない顔を作っていたくせに、今はもうすっかり教師面だ。
だから学校というものは面倒臭いのだ。夜玖はそう思う。
はい、と教師に答えながら立って、61ページの英文をすらすらと読み始めた。

その声に聞き惚れる者も居るし、唖然としている者も居る。
兎に角、教室に何とも形容し難い変な雰囲気が流れていた。


「これでよろしいでしょうか、先生?」
「・・・あ、ああ。お前、発音いいな・・・」
「ええ、まぁ」


こちとら英国人とのクォーターだっての。
馬鹿な教師に内心毒づきながら未だにこやかに笑んだまま席に座りなおす。
多分、周りがこんなにも唖然としているのはこれから習う内容だったからだろう。
転校生いびりの典型的なタイプだ。

ふと視線を感じて隣を見ると、例の沢田という男が夜玖を見ていた。


「何か?」


見るんじゃねーよ。
そういうニュアンスを含めて言えば、気付いているのか気付いていないのか、そこは定かではないが慌てて視線を逸らした沢田。

俺は見せもんか。
相変わらず視線を注いでくる女子どもには視線をやらずにまた空を見上げた。



(書き手:管理人B)


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