Clap log

□花火という名の魔法にかけられて
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あ〜メンドクセェ。本当にメンドクセェ。夏の暑さに加えて人の熱気、屋台の熱気、おまけにナルトやいの達のはしゃぎ具合のウザさ加減と言ったら、全く冗談じゃねぇ。おまえが来たいなんて言わなきゃ絶対に来るつもりなんてなかったんだ、花火大会なんて。さっきからニコニコニコニコ…そんなに嬉しいか?花火大会が。俺は人通りの少ないところで地味に線香花火をしている方が好きだ、なんて言ったらおまえはきっと、餌をもらいそこなったワンコロみてぇな顔をしただろう。それはそれで可愛いんだろうな、なんて思ってしまう俺はただのエロ親父と何ら変わらねぇのか!?そうなのか!?

「シカマル、頭でも痛いの?」
「は?」
「眉間の皺を寄せてるから…」

それに溜め息ばかり。そうだよね。シカマルはこういう人混み好きじゃなさそうだもんね。きっと線香花火とかの方が好きだったよね。ごめんね、シカマル。でもね、どうしてもシカマルとここへ来たかったの。利己的な理由で呆れられるかもしれないけど。

「なぁ、このまま他のところに行かねぇか?」

せっかく人混み書き分けて来たのにおふくら饅頭状態で見るのはメンドクセーし。なんて適当な理由を付け、彼女の腕を引き、道を外れ、静かな場所へと誘導する。場所を移動した本当の理由はおまえと2人きりになりたかっただけなんだが。アスマ譲りの恋下手口下手といったら使えねぇのなんの…。

「あ、シカマル!」

花火が始まったよ!と無邪気な笑みを浮かべ指で夜空に盛大な爆発音と共に上がった花火を指し示すおまえ。ん!?なんなんだこの違和感。なんで今更こんなにドキドキしてんだ?つーか、おまえ急に可愛くなったんじゃねーか?自分を見つめたまま固まる俺におまえは不思議に思ったのか首を傾げる。そーゆうのに俺が弱いって知らねーのか?無知は本当に罪だ…。なんて脳内パニックを起こしているとおまえはおもむろに電柱に貼付けられたチラシに指をさした。

『今年の花火のキャッチフレーズは…繋ぎ止めたい想いにさらなる情熱を』

IQ200以上もある俺の頭でも一瞬こいつが何を言いたいのかがわからずに口をポカーンとあけているとおまえは俯いてボソボソ嬉しくも恥ずかしくもある言葉を呟く。

「私シカマルが好きなの。」
「どうした?今頃。」
「シカマル人気あるから……。」
「!」
「花火の魔法を借りて少しでもシカマルが私の事を」

その二の句をつげないように唇を塞ぐ俺。全く…路上で柄にもねぇ事はしたのはわかってるんだが、どうやら俺は、花火の魔法とやらとおまえのわずかな嫉妬心に、脳内が侵されちまったみたいだ。メンドクセーが理性は無意味。ただこいつが好き過ぎで仕方無いんだ。ホントーにメンドクセー。

「安心しろ。」
「うん?」

おまえに惚れ過ぎてるんだ、何も考えられない位に。

(…なんて、口が裂けても言え無い。)



(花火綺麗だね、シカマル!)
(花火なんかより………///)
(ん?)
(……なんでもない。)


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