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□私はそれで満足だから
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私が数年間想い続けた人は弟思いの優しいお兄ちゃんで、誰かのためになるなら自分が犠牲になることを厭わない、そんな人。何が良かったのかわからない。優柔不断で馬鹿がつく位のお人よしで。確かに美形ではあるけれど、それならイタチじゃなくたって良かった。でも惚れてたのは確かなんだ。それ自体に理由なんてないのかもしれない。本当なら今すぐにでも想いをぶつけてしまいたいのにそれは叶わなくて…。君はそれまでに無いくらい穏やかに、幸せそうに微笑んでいたね。


『紹介する。』


そういってイタチの後ろからひょこっと顔だけこちらに覗かせていたのは、華奢でフワフワしてて、まるで綿菓子か金平糖みたいな人。私やイタチと同じうちはの者だって知ったのはもう少し後で。今は、何から何まで自分とは真逆な女の子と親しげにしているのが悔しくて、こういうのがタイプなのかと思うと悲しくて笑えてきた。


『イタチには勿体ない位可愛らしい子じゃない!憎いわね〜。』


茶化すように絡み付けば、イタチは本当にうれしそうにハニカムもんだから、愛情やら愛憎やら訳のわからない感情が私の体を通り抜けた気がした。でも。良かったね。やっと笑えるんだね、心から。手放しちゃ駄目だよ、自分の幸福(シアワセ)を。私は、君が遠いところで幸せそうにしている姿を思い浮かべて幸せになるから。


私はそれで満足だから
私はそれで満足だから



(いつかまた出会った時、彼女の手をとりながら微笑んでいて下さい。)
(私も、君以上の男を見つけて、君達以上に幸せになるから。)




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