小説
□依存症
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◇◇依存症◇◇
「元希さんって、いつもガム噛んでますよねー」
ロッカー室で、オレの球を受け損ねたアザだらけの体を、惜しげもなく披露しながら隆也がアンダーシャツを脱ぐ。
ちっ、もう少し自覚しろよな。
「おぉ〜、隆也〜。これまたアザだらけだな〜」
オレと同学年のヤツが隆也の側に寄ってきた。
「・・・これでも、最近は元希さんの球、取れる様になってきてます」
「でも、これなんかは、今日のアザだろ?」
隆也の腹部にできた赤紫のアザを、そいつがツンとつつく。
「ひゃっ」
隆也がビクッと身を引いて、変な声を出す。
「おまえ、なんて声だすんだよー」
「そんなところ突かれたら、痛いけど、くすぐったいじゃないですかー!」
「あはは、悪い、悪い」
「悪ふざけは顔だけにして下さい」
「ひでぇ〜」
笑いながらそいつは自分のロッカーに戻っていき、隆也も着替えを再開し始めた。事の成り行きを見守っていたチームメイト達も、また自分自身の着替えに戻っている。
隆也、おまえは危機感無さすぎ!
そいつは、おまえに触る為に、からかった振りをしたんじゃねーか。
おまえにはわかんねーのかよっ!
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