小説3
□また、あした
1ページ/6ページ
「オレはお前がスキだよっ!」
「オレもっ、阿部君がスキだっ!!」
そう言って確認しあったのは、ついこの間なのに・・・
阿部君のうそつき・・・
◇◇また、あした◇◇
阿部君とはキスまでした。
阿部君も拒否しなかった。
唇をそっと合わせたら、びくっとしていたけれど、振りほどかずにいてくれた。
だから、オレを受け入れてくれたと思ってたのに・・・
あんな試合、見に行かなければ良かった・・・
そう。武蔵野と浦総の試合。
そこで、ハルナさんと阿部君が会って、その後、阿部君の態度がおかしくなって
気がついたら、謝られてた。
「ごめん、三橋」
って・・・
ハルナさんは阿部君が好きで。
阿部君もハルナさんが好きで。
でも、行き違いやすれ違いがあって、二人は違う道を歩き出して。
それなのに、そのはずなのに、またその道がひとつになってしまった。
「でも、オレがバッテリーを組むのは三橋とだから」
そう言ってくれた阿部君に、オレは頷くしかできなかったんだ。
恋では負けたけど、野球では勝ったんだって。
それが、オレの小さなプライド。
.