パラレル
□悠 〜はるか〜 8
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悠〜はるか〜8
「はっ・・ああっ、モトキ・・さん」
熱い吐息と共にオレの体は強張り、震えと共に腹に白濁が散る。
「くっ」
こらえる様な苦しげな声が頭上から零れ落ちたと思ったら、オレの最奥に熱い飛沫がかかった。
どさっと、ハルナ王がオレの体の上にのしかかる。
ハルナ王。
この上下エジプトを統べる王。
神の子たる絶対的存在。
そのファラオに奴隷として買われ、奉仕をするようになって、もう一月程は経っただろうか。
窓の外に視線を移すと、煌く星が見える。
吐息をひとつ吐き、イッた余韻にひたる。
いくら相手がファラオで、自分は奴隷だからと言って、男に抱かれるという行為に抵抗が無い訳では無い。
しかし、いつしか体はハルナ王の愛撫に慣らされ、どんなに堪えても、最後には快感の淵に落とされその名を呼んでしまう。
そして、それに満足したように、ハルナ王もイく。
大体、ファラオともあろう人が、何故未だに毎晩の様にオレを寝所に呼び、貪るようにこの体を抱くのか、いくら考えても判らない。
すぐに飽きるのだと思っていた。
しかし、飽きるどころか、オレに対する執着は強くなっている気がする。
始めは怖かったその瞳も、時に優しくオレを見つめることもあった。
情事の後に、かき抱かれて眠ることもあった。
体は陵辱されても心は侵されることがないように。
自分は単なる性欲処理の道具に過ぎないのだと、必死に自分に言い聞かす。
だけど、肌を合わせていることで移る情もあるのだということに、強く戸惑っていた。
両親を失い弟とも生き別れ、一人ぼっちになってしまった今、あまつさえ王宮に閉じ込められ人との接触を殆ど取ることができない中で、唯一の人との関わりがハルナ王とだけだ。
今のオレの世界には、ハルナ王しか存在していない。
そんな現実に唇を噛み、わずかながらの抵抗にと、その体を押し返そうとハルナ王の肩に手を置くと、左肩にある傷が指に触れた。
熱い・・・
傷口は既に塞がり、皮膚がひきつれたようになっているだけなのに、妙にその部分の体温を熱く感じた。
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