パラレル

□悠 〜はるか〜 9
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「ちょっ、ハルナ王、待って」

「すげえ汗だな。この匂い、ぞくぞくする」

身に纏っていた丈の長い衣装をまくられ、性急に肌に唇を押し当てられる。

「やだっ、ちょっと待って、答えて下さい」

「だまってろ」

「なんで、なんでシュンがここに」

バシッ

頬が急に熱くなった。

「オレに抱かれながら、他の男の名前を呼ぶんじゃねーよ」

「ハルナ・・王・・・」

「違うだろーが。何度教えたら分かんだ」

「っ・・・モトキ・・さん」


◇◇悠〜はるか〜9◇◇


ハルナ王に呼びつけられて行った宴。
何か見せたいものがあると言われて行った宴。

そこに現われたのは、シュンだった。

暴漢に襲われ、生き別れた弟。
命があるのかさえも分からなかった弟が、突然目の前に現われた。
オレの存在がばれたらシュンを殺すと言われたけれど、わざとシュンにオレの存在を見せ付けたようにしか思えない。
シュンの前でキスをされ、そのまま引きずられるように寝所まで連れてこられた。
最後に見たシュンの顔は、目と口を見開いて呆然としていた。

その晩のハルナ王は、ひどく酔っていた。
酔いに任せて始めた行為も、途中からはハルナ王の寝息に変わっていた。
シュンに正体が知れた今、どんな目に合うのかと身を硬くしていたオレは、その寝息を聞いて、ホッと安堵の息を漏らした。

何で意識の無い人間の体って、こんなに重いんだろう。

だらんと力の抜けたハルナ王の体の下から、何とか抜け出そうと体を動かす。

「んっ」

だが、眠っているはずのハルナ王から、逃さないとばかりに強く抱きしめられた。

「ハルナ王?」

しかし、返事は無い。

もしかして、この人は、とてつもなく寂しい人なのではないだろうか・・・

なんとなく、そう思えた。

そっとハルナ王の背に手を回し、その腕にギュッと力を込めたら、ハルナ王の体からふわっと力が抜けるのを感じた。

シュンの事は、明日聞いてみよう。

そう思いながら、オレも眠りに落ちていった。


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