小説

□バッテリー
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バッテリーは、お互いをよく判りあっていなければいけないんだ。



◇◇バッテリー◇◇



「三橋、いいから挿れてみろ」
「あ、阿部くん・・・」

練習が終わった部室の片隅で、残された二人のシルエットが重なり合う。

「お互い、よく知り合うにはコレが一番なんだ」
「う、うん、でも、いいの?」
「何が?」
「オ、オレ、は・・・初めてだよ。きっと下手だよ」
「なんだ、そんな事か。オレが挿れてやってもいいけど、大事なエースの体に負担をかける訳にはいかないだろう」
「うっ」
「いいんだよ、オレらキャッチは、所詮、ピッチャーを受け止める的なんだから」
「そんなっ・・違うよ。阿部くん、オレは阿部君のこと、的とか思ってないし、それに・・・」
「おしゃべりは終わり。早くしろ」
「う、うん・・・。い、挿れるよ・・・」
「くっ・・・」

久しぶりの感覚に息が苦しい。力を抜こうと思っても巧く抜けない。

「あ、阿部君、大丈夫?」
「くっ、大丈夫だから、抜くな・・・」
「う、うん」

ぐっと奥まで三橋が突き入れてきた。

「ううっ」
「あ、阿部君、き、気持ちいいよ」
「はぁっ、三橋ぃ」
「う、動くよ、阿部君」

あぁ、久しぶりだな、この感覚。あのサイテーノーコンピッチャーから解放されて以来だから、丁度一年ぶりくらいか。
三橋とヤっても感じるんだな、オレの体は。
良かった。アイツだから気持ちよくなる訳じゃなかったんだな。

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