Novels

□別れ道の作り方
4ページ/14ページ



人混み溢れる街にある、こじんまりとした小さなバー。
名前は『Again』

そのバーは決して繁盛しているわけでもなく、かといって客足がないわけではない。

バーテンダーは一人。
二十歳を少し過ぎたぐらいの男性が、一人で切り盛りしているバーだ。

店主でありバーテンダーである秋房優は、コップを磨きながら時計を見た。
時刻は夕方の四時半。

「そろそろかな・・・」

そう呟いた彼の声は、とても柔らかく名前の通りの印象を与えるような、そんな声だった。

優が呟いて数分後、バーのドアが開けられカランカランと独特の乾いた鐘の音が、小さく流されていたクラシックをかき消し、バーの中に響き渡る。

「優さん!こんにちは!!何か手伝うことありますか!?」

現れたのは、肩につくぐらいの少し茶色がかった髪を持つ、目がくっきりとした可愛い顔立ちの女性だった。

動きやすそうなパンツ姿で、肩に掛けたバッグが落ちないように掛けている方の手で握り、自然と閉まるドアを避けるようにして中へと入ってくる。

.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ