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□別れ道の作り方
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人混み溢れる街にある、こじんまりとした小さなバー。
名前は『Again』
そのバーは決して繁盛しているわけでもなく、かといって客足がないわけではない。
バーテンダーは一人。
二十歳を少し過ぎたぐらいの男性が、一人で切り盛りしているバーだ。
店主でありバーテンダーである秋房優は、コップを磨きながら時計を見た。
時刻は夕方の四時半。
「そろそろかな・・・」
そう呟いた彼の声は、とても柔らかく名前の通りの印象を与えるような、そんな声だった。
優が呟いて数分後、バーのドアが開けられカランカランと独特の乾いた鐘の音が、小さく流されていたクラシックをかき消し、バーの中に響き渡る。
「優さん!こんにちは!!何か手伝うことありますか!?」
現れたのは、肩につくぐらいの少し茶色がかった髪を持つ、目がくっきりとした可愛い顔立ちの女性だった。
動きやすそうなパンツ姿で、肩に掛けたバッグが落ちないように掛けている方の手で握り、自然と閉まるドアを避けるようにして中へと入ってくる。
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