novel(other)
□短編集
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※IF設定(もしも紫苑が先輩でネズミが後輩だったら)
※紫苑視点
初めて君を知ったのは、クラスメイトの話す噂からだった。
今年の一年生に物凄い美少年がいるらしい。
声楽部に入部早々、ソロパート担当だって。
確か名前は…
初めて君を目の当たりにしたのは、廊下だった。
移動教室で音楽室に向かう途中だった。渡り廊下ですれ違う君は凛としていて、ただ歩いているだけなのに優美だった。
初めて君の歌声を聞いたのは、合唱祭の時だった。
君の歌声は透き通っていて、何て言うんだろう…上手く言えないけど、とても美しかった。
初めて君に触れられたのは、合唱祭が終わった後。
後ろから髪に触れられ、驚いて振り返り、更に驚いた。
「あんたの髪、綺麗だな。」
「え、あ…ありがと…?」
歌声以外の声も話しかけられるのも初めてで。
緊張してまともに返事も、況してや上手く呼吸も出来ていたか、今になっては思い出せない。
「君の歌声、とても美しかった、イヴ君。」
「それはそれは光栄至極に存じます、紫苑陛下?」
「へ、陛下って…て、あれ?何で僕の名を知っているんだ?」
「あんた、俺達一学年じゃ有名だぜ?白い髪の先輩がいるってな。そういう紫苑先輩は何故俺の名を?」
「君こそ学校中の有名人だ。知らない人はいない。」
「ふぅん。でも残念でした。イヴは俺の舞台名。」
「え?でも…皆そう呼んでるよね?」
「ふふ。俺の名は誰にも呼ばせない、教えない。でも…」
「でも?」
「…あんたに…あんたにだけは教えてやるよ…」
「え、…イヴ君?」
「―――――――。」
初めて君の名を聞いた。そして…
僕は初めて恋をした。
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ネズミ視点も書きたいな。