MOTHERシリーズ

□ドッキリ?
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「生き……てる…?」

「そうだよ」

「嘘……!」

「本当だって、本当」


思わず、涙が溢れそうであった。操られたクラウスからの容赦ない攻撃を浴び、そして仮面を外したあの瞬間のように。
しかし、ドッキリとは何か。彼が死んだとリュカは確信していた筈なのだが、現に目の前で自分自身と会話している人物は実の兄だ。
騙されていたのか、とリュカは気付いた。しかし、それに気付くともう一つ疑問が浮かび上がってくる。

(いつから「ドッキリ」だったんだろう……?)

しかし、その疑問はクラウスが解決させてみせた。


「……ごめんな、最初からさ。あんな……ドラゴが………あんなところ、思いっ切り見せちゃって。さすがに……やり過ぎだよな」


リュカははっと思った。最初から「ドッキリ」であった、と伝えられた。祖父の家近くで「バトルごっこ」をした時から既に「ドッキリ」であったというのか、と気付いたのだ。


「そこ……騙されてたの?」

「ああ。今までずっと、本当にごめん」

「お母さん!!」


気が付けば無意識にリュカは叫んでいた。そう、最初から騙されていたならば……母親が殺されたと思っていたが、それが嘘ならば。ただ、会いたいと思った。


「お母さん……お母さん!!!」


声が枯れてしまう程に叫び続け、走って台所へと向かった。そうすればまた、生きた母親に会えると信じて。リュカ、待てよ、というクラウスの声すらも耳には入って来なかった。
夢中でばたばたと走り、キッチンに着くと息を切らしていた。
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