くりきん ネツゾウストーリー

□キンオブゴッド論
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3.神のキンなのか?


キンオブゴッドの名前の矛盾をお話しました。
神という言葉と、悪魔という言葉。一般的には、前者は人々を救ってくれ、後者は人々を陥れるというようなイメージがあると感じられます。真っ向から対立していますね。
あるいは、前者は人によっては「世界を創造した」と考えることもあるかも知れません。

それとは全く異なる対立ですが、くりきん内では「キンオブゴッドだけが生きられる世界」と「多種多様なキンが生きられる世界」という対立も考えられます。
非常におかしな質問ですが、現在こちらをお読み下さっているあなたは、果たしてどちらの世界が良いと思いますか?
言い方を変えると、キンオブゴッドのような一つの「概念や感情などの無形のもの」だけが存在する世界と、多種多様な「概念や感情などの無形のもの」が存在する世界です。
どちらが良いというのは様々な考え方があるでしょうが、現在私達が暮らす世界のイメージとしては、恐らく後者に近かったのではないでしょうか。
しかし、そのような世界をキンオブゴッドのようなもので一色に塗り潰すのは良いか悪いか。

キンオブゴッドはあくまで名称上は「神のキン」であって、「悪魔のキン」ではありません。このキンは、キンオブデビルやキンオブサタンという名前ではありませんよね。ということは、このキンは人々に「神」を連想させる一面があるということです。何度も同じことを書いてしまって申し訳ありませんが……
この「神」を私達が考えるとき、これもまた人により価値観が食い違うところです。八百万の神とか唯一神とか、様々な「神」像が存在します。
そして、その中からある一つの「神」像を考えると、キンオブゴッドを正当に「神のキン」だと考えることが出来るように思えます。一方で、またある一つの「神」像を考えると、キンオブゴッドを正当に「悪魔のキン」だと見做せます。

まず、前者についてお話ししましょう。
例えば、神に対して「世界を統一して平和に導く存在である」とか、「全員が同じ一つの神を信じれば世界が平和になる」という考え方をする立場が存在します。そのような考えのもとにキンオブゴッドを見れば、これは「神のキン」だと見做すことが出来るのではないでしょうか。
キンオブゴッドは古来よりリクウの宿敵でしたが、それに基づく悪い先入観を除けば神々しい一面も見られます。

というのは、このキンは様々なキンを用いて様々な新種キンを生み出し、更にそれを繰り返すことで最終的に生まれるキンです。様々なキンの性質を取り込んだ最強のキンだと言えるかも知れません。言い方を変えれば、様々な「無形のもの」の性質を取り込んだ最強の「無形のもの」ですね。
そして、仮にその完璧な「感情や概念などの無形のもの」を空気中に放つとします。すると、あまりにも完璧で非の打ちどころがないので、他の「感情や概念などの無形のもの」はそれに全て淘汰されていきます。いつしか世界が一つの「感情や概念などの無形のもの」に染まるでしょう。
もしもこのようなことが本当に起これば、神に対して先程のような考え方をする人々は「これで世界は平和になる」と感じるでしょう。実際に、この考え方は決して頭から否定できるようなものではありません。ある立場から見ると、とても正当な考え方です。人類史においても、現在までに実に多くの人が信じてきたことではないでしょうか。
それを実現してしまうのだから、このキンは「神のキン」なのです。
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