STORY

□帰り道
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「10代目ぇ〜!!」

いきなり大きな声でそう呼ばれ、ツナはまわりを気にしながら、近づいて来た獄寺を少し睨んだ。
そんなツナの様子も全く気にせず獄寺はニコニコしながらこう続ける。

「10代目!肉まん食べませんか?いやーしかし今日寒いっすよね〜」
寒そうにしながらコンビニの袋を見せ、またニカッと笑う。
そんな無邪気な獄寺の笑顔を見て、
(こんな笑顔…俺にしかしないよな…)
なんて思うと少し嬉しくなった。

「うん、寒いね!でもオレさぁ肉まんより…ピザまんの方が好きなんだよね」

なんて…ツナはちょっと意地悪な事を言ってみる。
「!!」
獄寺の顔は笑顔から一変、しまった…とでも顔に書いてあるような表情になる。
「す…すいません!!今すぐ買って来ます!!」
そう言うと振り返って今来た道を戻ろうとする獄寺の腕を、ツナはがしっと掴んだ。

「嘘だよ」

「10代目…?」

「好きだよ。」



目を合わせたまま一瞬の間があり、次の瞬間獄寺の顔が真っ赤になる。

そんな彼を見てツナは、はっ!!っと気付き慌てて訂正する。

「ちっ、違うよ?!獄寺くん!肉まんの事だからねっ?!」

「あ…!」

獄寺は勘違いに気付き恥ずかしそうに頭をかきながら

「そ、そうっすよね!!肉まんの話っすよね!!」
と真っ赤な顔のままいつもの笑顔でニカッと笑った。


(…全くの勘違いでもないんだけどね…)
ツナはまだ恥ずかしそうにあたふたしてる獄寺をちらっと見ながらそんな事を思った。

「獄寺くん」

「はっはい?!」

「肉まんもらってもいい?せっかく買って来てくれたんだし、冷めちゃうからさ?」

ツナの優しい話し方に獄寺は安心した。

「10代目ぇ…」
今にも泣き出しそうな情けない声でそう呼ぶと、肉まんを袋から出してツナに手渡す。

ツナはちょっと冷めてしまった肉まんを一口食べ、
「うん、おいしいよ」と獄寺に笑いかけた。
そんなツナの笑顔を見て獄寺も笑う。

「帰ろっか」
ツナが笑顔のままでそう言うと、
「はい!」と獄寺は嬉しそうに答えた。


いつも二人一緒の帰り道。


☆END☆
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