STORY

□チョコより甘いもの
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「獄寺〜!」
山本が女子達にもらったチョコをいっぱい抱えて近付いて来る。

「なっ?!
んだよ、野球バカ!来んな!!」
いつもより一層眉間に皺を寄せて獄寺は山本を睨んだ。
追い掛けて来る女子からたった今逃げ切り隠れたところだった。

「お前さぁ、何でチョコもらわねぇの?モテんのにもったいないのなー」
とニコニコしながら山本が言う。
「うるせーな!オレはチョコとか興味ねぇんだよ!めんどくせぇっ」

「ふーん。でもさぁ、ツナからだったらチョコもらうだろ?」

「!!」
獄寺は思いがけない山本の言葉に一瞬固まった。

「ははは!獄寺おもしろいのなー!ツナからもらえるといいな!じゃあオレ部活行くわ!」
そう言って山本は走って行ってしまった。

(なっ…何なんだあいつ…!オレが10代目からチョコもらいたいって何でわかっ…)
「やっと見つけた〜!」といきなり後ろから肩をポンッと叩かれた。その声で慌てて獄寺は振り向く。
「じゅっじゅうだいめ!!」
目の前には笑顔のツナがいた。
「良かった〜もう見つけられないかと思った〜獄寺くん大丈夫?」

「すっすいません10代目!女共から逃げてたらこんな時間に…すいません!!帰りましょう!!」

「逃げる必要なんてないのにな」ボソッとツナは小声で言った。
「えっ?!何でですか?!」
獄寺にはツナの声はちゃんと聞こえている。
(獄寺くんの地獄耳…)
「だって…」

「はい??」

「他の子からのチョコなんてオレが受け取らせないよ。」
そう言うと耳まで真っ赤にしてツナは俯いた。
「えっ…じゅうだい…」
獄寺が言いかけると
「はい!これ!」
とツナは俯いたまま獄寺の胸に小さな箱を押し当てた。

「オレからのチョコ以外もらっちゃダメだからね!」ツナは一瞬上目づかいで獄寺を見てまたすぐに俯いてしまった。

「!!!」獄寺はぎゅっとツナを抱きしめた。「じゅうだいめぇ!!当たり前です!!誰からもチョコなんてもらいません!!」

「ちょっ獄寺くん!苦しいよ〜」なんて言いながらツナは嬉しくてしかたなかった。

「これ一生食べません!!オレ幸せです!!10代目大好きです!!」

「うん…オレも」


(バレンタインっていいもんだな)
ツナは生まれて初めてそう思った。


☆END☆

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