clap

□I know
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「座れよ」

「うん」



時刻は夜の10時

揺れるカーテンと一緒に金木犀のかおりが漂う



「はぁ」



溜息をつくとき、あなたが決心したとき。


一呼吸置いて、

時計の秒針の動く音が聞こえて、

車が通る音が過ぎて、、、




「別れよ。」



わかっていた

けれど床に吐かれた言葉は私を締め付けた



「いや」

「…ごめん」



直ぐに返された言葉がまた私を苦しめた

謝られたって許したりできない




「正直、俺もう疲れたんだよ」


「お前の束縛も面倒だし」


「我が儘ばっかで」


「俺といたって幸せになれねぇよ」




全部私のせいだって




「それに、ほかに好きな奴いるし…」

「…!」




殴って部屋を出ていく

それが一番すっきり出来ただろうか

それじゃあ良く出来たシナリオだ


私は吐いた


「死んじゃえ」


「は?」



「死ね!」



小学生並の反論は大の大人が言うと
バカに見えるか、本気に見えるか



「お前なんか死んじゃえばいい!今死ね!今すぐ死ね!!」

「…大丈夫か?」


「別れるから死んで下さい!消えて下さい!存在しないで下さい!」


声が裏返るほど叫んで泣いて

胸倉掴んで揺すって突き飛ばして



もうあなたは私を人として見てくれてないみたいだけれど

何故か悲しくなかった



「お前…頭いってるよ」



私とは真逆の反応


あなたは何時も


私を馬鹿にしていた



「かもね」



わかっていた




* I know *





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