桜は五分咲き。
卒業のこの日、俺は賞状を雑に丸めて筒に無理矢理突っ込んだ。
これといって思い出もないこの学校。
机に彫った俺の名前を指でなぞって、俺は教室を出た。
「ぁ…あのっ!!」
階段を降りようとした時だった。
突然後ろから呼び止められた。
視線だけそちらにやると、話した事もないような後輩が立っていた。
「…何?」
「えっと……その…」
前で絡めた指をほどいたり絡めたりする彼女。
「何だよ」
彼女は何かを決心したかのように俺を真っ直ぐ見てきた。
「せっ、先輩っ!私に…第2ボタンください///」
「え…」
思いがけない言葉に俺の顔が熱くなっていってるのも分かった。
は、初めて言われた。
俺は焦りながら、第2ボタンを外した。
彼女の手の上に置く瞬間、少し彼女の肌に触れた。
まだ十何年しか生きていない俺には、それは刺激の強いものだった。
彼女はお礼を言って走っていった。
その場に残された俺は、唯ぼーっとつっ立っていた
「俺…やるじゃん!///」
ガッツポーズをして、また俺は足を進めた。
*サクラサク*