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□サクラサク
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桜は五分咲き。


卒業のこの日、俺は賞状を雑に丸めて筒に無理矢理突っ込んだ。


これといって思い出もないこの学校。


机に彫った俺の名前を指でなぞって、俺は教室を出た。





「ぁ…あのっ!!」


階段を降りようとした時だった。
突然後ろから呼び止められた。


視線だけそちらにやると、話した事もないような後輩が立っていた。

「…何?」


「えっと……その…」


前で絡めた指をほどいたり絡めたりする彼女。


「何だよ」


彼女は何かを決心したかのように俺を真っ直ぐ見てきた。


「せっ、先輩っ!私に…第2ボタンください///」


「え…」


思いがけない言葉に俺の顔が熱くなっていってるのも分かった。


は、初めて言われた。


俺は焦りながら、第2ボタンを外した。


彼女の手の上に置く瞬間、少し彼女の肌に触れた。

まだ十何年しか生きていない俺には、それは刺激の強いものだった。


彼女はお礼を言って走っていった。

その場に残された俺は、唯ぼーっとつっ立っていた





「俺…やるじゃん!///」


ガッツポーズをして、また俺は足を進めた。



*サクラサク*



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