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□あめのちはれ
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しとしとと降る雨

じめじめとした朝

目覚めは今日も最悪

付けっぱなしのテレビには、傘の絵ばかりの天気図が映っていた。


「雨ばっか」


君はつまらなそうに後ろに振り向いた。


「俺はてるてる坊主じゃないからな」

「はいはい(笑)」


またテレビの方を向いたかと思えば、
今度は窓の外をじっと眺めていた。

どんよりとした雲。

耳障りな音は途切れる事なく続いている。

ザー
「…」
ザ―
「…」

「やけに静かなんだな。」

「雨の日はね。」


少し沈黙が続いて、また君は俺の方を見た。


「何だよ(笑)こっち来いって」


「…」

少し迷う素振りをして俺の隣に座った。


「外、出たかったなぁ」

「うん」

「バドミントンしたかったなぁ」

「また今度」

「うーん…」

雑誌を眺める俺をじっと見つめる君。

視線がやけに痛い。


「何ですか?」

「今度って何時ですか?」
「うーん…来週?」


疑問形で返したら、案の定君は眉間に皺を寄せていた。

「今日!今日行く!」

「は?雨降ってっぺ?」

「そっか…」


君は口を尖らしてまた窓の外を見た。


雨の日は何時もこうだ。

餓鬼みたいになる。


「来週晴れるかなぁ…」

「晴れる晴れる」


膝枕してやるといつの間にか寝ていて、

その寝顔が幸せそうで少し
寂しくなった。




「…てるてる坊主作るか」

「プッ…子どもみたい(笑)」




いつの間にか
窓からは陽が差しこんでいた。


*あめのちはれ*



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