米騒動

□関係転換学各論A
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しかし、その対立関係の話に入る前に、一つだけ“終わった関係”について説明しておこう。

ヤツが転校して来る前日。
もう一つ俺には、終わった関係があったのだ。

それは俺と、高校生活の全てを共にしてきた俺の彼女、上白垣 栞(かみしらがき しおり)との恋愛関係の終わりだった。



「善……、私達別れた方がいいかもね」

「そうだな」

「受験も近いし、これからはお互い別々の進路を目指して行かなきゃならないし」

「そうだな」

「善、今までありがとね」

「いや、こっちこそ。いろいろありがとな、栞」


と、まぁタイミングがいいのか悪いのか。
俺と栞は2年半もの間積み重ねてきた彼氏彼女関係にあっさりと終止符を打ったのだった。

まぁ、ね。
なんか互いに心離れてるなぁって思ってた時だったし。
ついでに進路指導で出した志望校も全く別の大学だったし。

つまりは潮時だったんだ、俺らは。

でも、俺は栞と付き合えた事を後悔してないし、別れた事も後悔してない。
栞はちょっとだけワガママで自分本位な所もあったけど、凄く良い彼女だったと思う。

学校一可愛いと言うお品書きもあって、俺と栞は校内の美男美女カップルなんて呼ばれて居た時期もあった。
ほんと、懐かしい限りだ。

しかし、それらは全て過去の事。
過去があれば現在がある。

盛者必衰と言う言葉もあるし、栄えた者は必ず衰える時期が訪れる。

ただ、あの俺達とは全く違う次元に住むヤツには、その言葉は当てはまらないだろうなと、俺は密かに思った。
アイツが衰える時は、それは世界の常識が変わる時だろう。

まぁ、それは置いといて。


校内一の美男美女カップル。
俺と栞。

終わりを告げた俺と栞の関係。
後悔など一つもない結末



だった筈なのに。

俺はその後、この絶妙なタイミングで栞と別れた事を若干後悔し始める事になる。
あぁ、別れるのが夏休み前だったなら……少しは状況も違ったのだろうか。

いや、結局変わらなかったのかもしれない。
これは俺が学校一のイケメンと言う称号を得た時から、既に逃れられない運命だったのかもしれない。

しかし、今さら終わった関係を嘆いてももう遅い。

終わりがあれば始まりがある。
既に始まった関係は……、どうにも止められないのだから。


 
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