くろこのバスケちょうへん
□第2Q「兄妹ですけど」
1ページ/4ページ
なんだかんだで入学式から数日。
クラス発表し、クラス組織もつくり、だんだんグループが出来始めてきた時期だ。
それでも美羅は、一人でいた。
人から話しかけられることは、ある。
でもその会話は長く続かない。
気づけば話しかけてくれた人は違う場所にいて、
気づけば自分はまた一人になって。
気づけば違う人が話しかけてくれて、
気づけば自分はまた一人になっていた。
そんなことを繰り返し、だんだん声をかけてくれる人も少なくなり、
美羅は静かに窓の外を見つめた。
「ね、高尾さん、」
窓を見ていた視線を声の主へと移動させる。
そこに立っていたのは、オレンジ色の髪をした女の子。
「初めまして、だね」
『はい』
「私、橙山なず。よろしくね^^」
『高尾美羅です。よろしくお願いします』
なずの笑顔に美羅は魅力された。
素敵な笑顔だな…。
どうやら2人は意気投合したようだ。
今までとは大違いに会話が弾んでいく。
「私、帝光中出身なんだ!!」
『あの帝光中ですか!?』
「うん。って言っても帰宅部だけどねw」
『帝光中と言ったら、バスケの超強豪校ですよね』
「そーそー、全中優勝のときとかめっちゃ取材来てさ、関係ない私までインタビューされたよ」
『本当にすごいですね…!!!』
「美羅はどこ中出身なの??」
『陽南中です。ご存知ですか??』
「知ってるよ!!そこもバスケの超強豪校じゃん!!!」
時間が経つのも忘れて、楽しそうに会話する2人。
そして2人の話題は部活動へと変わっていく。
『そういえば、なずちゃんはどの部活に入るんですか??』
「んー…まだ決まってないんだよねー…。美羅は決まってる??」
『はい。その推薦で秀徳(ここ)に来ましたから』
「え!?推薦!!!?美羅すごーい!!!!」
なずの驚きの声が響く。
それと同時にチャイムが鳴った。
『部活の時間なので、行ってきますね』
「うん。美羅頑張ってね!!!」
『はいっ』
そう言って美羅は教室から出て行った。
・