くろこのバスケちょうへん

□第2Q「兄妹ですけど」
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1年生にとってはまだ仮入部期間。

しかし、推薦で来た美羅は関係ないようだ。



美羅は体育館に入るなり、挨拶してさっそく部室に向かう。

その途中、男バスのコートを通る。


美羅の瞳に入ったのは…。





(大きい…!!!)



同級生だと言うのに、全国に名前が広がっている男の子。

バスケ界で知らない人はいないだろう。


(キセキの世代、No.1シューター…緑間真太郎、さん…)

中学生の頃、何回も聞いて…見てきた人だと言うのに。

ほんの半年会ってないだけで、彼は別人になっていた。


中学生の頃とは全く違うオーラを感じた。





次に、そんな彼の隣でケラケラと笑っている男の子が瞳に入った。

その男の子もまた、自分の知っている男の子と少し違う気がした。

全く同じ人だと言うのに…オーラが違うと言うか、雰囲気が違うと言うか。





そんな考え事をしていると、緑間の隣にいる男の子が手を振ってきた。


……本人も気づかないほどに見つめていたのだろう。

そう思うと途端に恥ずかしくなってきた。



それでも男の子は手を振り続けるので、美羅も笑顔で手を振る。

男の子の表情はより一層明るくなった。



その笑顔を見たら何だか嬉しくなってきて。

美羅も少しウキウキしながら部室へと向かった。














『失礼しまーす』

そう言って部室のドアを開けると、先客がいた。

先輩かも…と思ったが、女子バスケ部の監督のようだった。


「ああ、高尾か」

気の強い言い方で美羅に話しかける女監督。



『こんにちは』

「…どうだ??元陽南中女バス部長から見た、うちの女バスは」



いきなりそう言われて、美羅は少し驚く。

そしてほんの数秒で真剣な顔つきになった。



『…良いと思います。でもどこか…お互いを信頼してないような気がします』

はっきりと美羅がそう言うと、女監督は嬉しそうに笑みを作った。


「…さすがだな。入学式の日の挨拶と今日、ほんの少ししか見ていないのに…そこまで見抜くとは…」

女監督はまだ嬉しそうに微笑んでいる。

そして何か決めたように美羅を見た。




「高尾美羅、今日からお前は秀徳高校女子バスケットボール部の主将だ!!!!」







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