DIVE!!
□に!
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『ヘルプ!!ヘルプミープリーズ!!』
一目散に来た道を戻り階段をかけ上がると、ガラス戸が割れんばかりの勢いでバンバンと叩いて助けを求める。
「うっせーな開いてるっつの!!」
ガラリと戸が開くと先程の男が喧嘩腰で現れた。ガラが悪い。非常にガラが悪い。が、私もそれどころではない。
『狼が!二足歩行で!銃刀法違反で!日本語で!ってか狼が!』
「天人なんだからそういうのがいても当然でしょうがァァァ!」
ズビシ!と脳天にチョップをくらう。思わずぎゃあという可愛いげのない声が出た。
それにしてもなんて言ったこの人?あま…なんとかだから当然でしょうが?
当然じゃないだろ!!
『あま…あま…なんですかそのあまなんとかってやつは!』
「はぁ!?おめェ天人知らねーの!?」
『そもそも此処は何処ですか!』
「…あぁー…アンタまさか記憶喪失…」
『△△●●東京都内某大学二年生家族構成は父母姉弟これでどうだ記憶喪失じゃねぇ!どうぞよろしく!』
一応助けを求める身だ(これでも)。きっちり90度のお辞儀も忘れない。
「トーキョー…?」
顔を上げると、男が訝しげに眉をひそめている。
『え、何か変なこと言いました?日本の首都ですよね?』
気まずい沈黙。嫌な予感しかしない。
「日本は大江戸、歌舞伎町、万事屋坂田銀時ですよろしくどーぞぉ…」
『大、江戸…?』
江戸っつったらあれですよね、200年くらい前の。なるほどね、道理でみんな着物なのか、て、えっ。
『ええええええええ!?!?』