‡薄桜鬼・文処‡
□過去拍手文
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シアワセノカタチ〜side:平助〜
――……眠……い…
ご飯は…あと温めるだけ。
お風呂も沸かした。
後は疲れて帰って来る恋人を、笑顔で迎えるだけ………
なのに………
無人の恋人の部屋で、クッション抱えて床でゴロゴロしてたら、何だか…眠たくなってきた……。
………左之さ…を…
起きて……待たな……いと…
なのに目蓋が勝手に下がり…
自然と意識を手放した。
あ………
気配が変わった………
部屋が………
幸せな空気に…満ちて来た
「平助……」
耳に優しく馴染む…俺を呼ぶ声。
頭に降りる、大きくて暖かい掌の感触。
あ……―――
触れられた頭から幸せな気持ちが全身に駆け巡る。
「…左…之さん」
やっぱり――
左之さんが帰って来たから…寂しかった部屋が……幸せな空気に満たされてきたんだ…。
「ごめ…ついウトウトして…。お迎え……出来なかった…」
まだ夢現の寝ぼけ眼を擦りながら、寝起きの上手く回らない舌で小さくつぶやくと、優しい蜂蜜色の瞳が細められる。
「いや…こっちこそ遅くなって済まねぇ…」
優しく頭を撫でてくれていた掌が頬に回され、恋人の唇が額に落ちて来た。
「……くすぐってぇ…」
待ちかねた恋人の、暖かくて優しすぎる唇が嬉しくて照れ臭くて……つい笑いながら、恋人の首に腕を回した。
「おかえり……左之さん…」
照れ隠しで顔を埋めた恋人の耳元で呟くと、更に腕に力を込めて、抱き締めてくれた。
そんで……俺しか知らない甘さに満たされた声で返された……
「ただいま、平助」
俺はいつも左之さんの帰る場所で在り続けるから………
ずっとずっと………
その言葉………
聞かせてほしい
それが―――――
俺の幸せだから……―――
(了)