‡合作処‡
□Sweet Valentine
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―2月15日―
「左之さん…今年もすげぇな…」
『本命以外受け取らない宣言』
した筈の俺の手元には、何故か段ボール箱一杯に溢れるチョコレート。
「……悪ぃ……。受け取る気はなかったけど…。断ったチョコを新八が勝手に受け取って来てよ……ごめんな?」
「い、いいんじゃね?また俺が食うんだし」
顔をのぞき込むと、ニッと笑顔で返す平助。
「………ごめんな?気を悪くさせたな…」
せっかく二人きりで過ごせるバレンタイン。
平助の機嫌を損ねる事はしたくない。
「あぁ、全部お前が食っていいぞ。何ならいつもみたいに食わしてやろうか?」
「分かってたから大丈夫だって!つか、自分で食えるし…」
「平助ぇ…顔、真っ赤だぞ?…ほら、口開けろ?」
恥ずかしがるのは解っているけど普段我慢させている分、今日は存分に甘やかしたくて…
真っ赤になりながらも口を開けている平助に、段ボール箱の中から適当に手に取ったチョコを口に入れた。
「……で?お前からのチョコは?」
複雑な顔をしながら…それでも素直にモグモグ…とチョコを食べる平助は、ちょっと腐手腐れ無言のまま、手のひらサイズの箱を差し出してきた。
「ん…ありがとな……これは平助が食べさせてくれるんだろ?」
微笑みながら貰ったチョコを指差し尋ねると、平助は中から手作りらしきトリュフを一つ取り出す。
「えっと………うん。あんま綺麗にできなかったけど…あ、でも味見はしたからな!
更に顔を赤くしながら、俺に食わせてくれた。
「ん……甘過ぎず、旨いじゃないか。 また腕上げたな、平助」
「そ、そっか………よかった」
安心したのか、満面の笑顔の平助を見ていたら……
ふとある事を思い付いた。
手の上にあるトリュフを一つくわえ、指で平助を呼ぶ。
「ん?なに?」
近付く平助に顔を寄せトリュフを平助の口内に移し、そのままチョコを溶かしながら舌を絡める。
「ん……っ…」
突然の俺の行動に驚いたのか、思わず服を掴んでしがみついてくる。
その可愛い仕草に煽られつつ、口内のトリュフが溶けて無くなるまで、そのままお互い舌を絡めていた。
「うん…甘くなった…」
チョコが無くなると唇を離し、真っ赤な顔の平助に微笑む。
「……チョコなんだから、あ…当たり前じゃん…」
「いや、平助とのキスで更に甘くなったんだって」
「てか、これ…左之さんに作ったんだからな…」
自分が作ったトリュフに手を伸ばし、それをくわえて目で何かを訴えて来た。
「………へ…平助?…どうした?今日は大胆だな…」
平助の行動に少し戸惑いつつ、顔を近付ける。
「…左之さんの真似しただけ……」
トリュフを俺の口の中に入れ少し唇が触れてから離れると、何か言いたげな平助が寂しそうに呟いた。
…………あぁ、そうか。
口では強がりを言うものの、やはり義理チョコにヤキモチを妬いてたって事か………
平助がヤキモチを妬いてるのに気付き……
更に愛おしさが込み上げて来る。