‡合作処‡
□Sweet Valentine
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「俺の真似なら…もっと…こうだろ?」
俺には平助だけ…
そんな想いを込め、再び平助にキスをする。
さっきよりも長く深いキスに、平助のもう片方の手が縋るように服を掴んできた。
「……ばーか。俺にはお前だけだって言ってんだろ?」
「…っ!?……お、俺何も言ってねーし…」
唇を離し、震える様にしがみつく平助の耳元で囁いてやると、あわあわと言い訳しだし………
「あ!そ、そうだ!コーヒー…そう、コーヒー淹れようか?」
と、いきなり話を誤魔化しだした。
「ん?… いや、今日はバレンタインだしな…ちょっと待ってろ。今日は俺が淹れてくるからよ」
そのまま平助に誤魔化されても良かったけど……
それも癪なので、俺はある計画を実行すべく平助の頬にキスを一つ落とし、そのままキッチンへ向かった。
キッチンで準備をしていると、平助の溜め息と、ゴチンと何か妙な音が聞こえた。
「お待たせ…って平助ぇ…何やってんだ?」
暫くしてマグカップを2つ持ち、平助の側に戻ると……
そこにはテーブルと仲良くする平助。
「左之さんありがと……ただの熱冷ましだから気にしないで………あれ?」
コーヒーとは違う匂いに気付いたのか、ヒョイとマグカップを覗きこむ。
「あぁ、お前のはホットチョコな。バレンタインだし…こっちの方がいいかと思ってな? 熱いから気をつけて飲めよ?」
「さっきチョコ食ったし、俺もコーヒーがよかったな…」
笑いながらホットチョコを差し出す俺にブツブツ言いながらも、ちゃんと冷まして一口飲み込み、ニコリと笑いつつ、うま〜♪と上機嫌になる。
「ん?旨いか?なら良かった。……コーヒーが良かったって…いつもミルクと砂糖目一杯入れるクセに……」
「あー…でもそっち少し飲みたい。左之さんブラックだろ?だから少し…だめ?」
ホットチョコに舌鼓を打ちながらも子供扱いが気に入らなかったのか、俺のコーヒーを指差しながら尋ねてきた。
「ま…飲みたきゃ飲めよ…お子ちゃまには苦いと思うけど……な?」
と言いつつ再びキッチンへ向かい、ある物を取りに行った。
「お子ちゃまとかゆーな……苦っ…」
キッチンから戻ると、相当苦かったのか、しかめっ面の平助。
「 ……苦かったんだろ?ほら…口直しに飲めって」
その予想を裏切らない光景に苦笑いしながら、零れない様にホットチョコを飲ませた。
「……左之さん、何持ってきたんだ?」
コクンとホットチョコを一口飲み込んだ平助が、複雑な表情で尋ねて来た。
「んー…これか? …俺からのバレンタインって言うか、俺へのバレンタインと言うか…」
「…左之さん??」
ニヤリと笑いながらブツブツ言いつつ平助に近寄る俺に、何か嫌な予感がしたのか……
平助が少しだけ後ずさる。
「ん?なーに逃げてんだよ…いいからこっち来いって…」
逃がす訳なんてないだろ、と平助を捕まえて、自分の方へ引き寄せた。
「おわっ…ちょ、ちょ、左之さん!?」
「いーから…ちょっと黙れって……」
持ってきたボウルの中身を平助の唇に塗りつけ、その唇につけた物を舐めとる様に口付ける。