‡捧物処‡
□乱れそめにし
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「っ…もぉ………やだぁ…っ」
室内に響くのは、自分の発する喘ぎ声と湿った水音。
「……いぃ眺めだぜ?平助?」
口許を三日月に刻み、くつりと笑いながらその痴態を眺める男。
「も……無理……ぃ…」
「誘ったのはお前だろーが…」
左之の射るような双眸に見つめられ、辱められている筈の体が違う感覚に浸食される。
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「あ〜ぁ…暇…」
平助は独りごちていた。
久々の非番なのに、いつも行動を共にする二人は、先週から近藤さんの遣いで留守にしている。
帰ってくんのは…明日だしな…。
昼間は総司と甘味処行ったり一くんと稽古したりと、何とか時間を潰せたけど………。
夜に一人になると……何だか闇に飲み込まれそうで…怖い。
――――左之さんに会いたいなぁ……。
こんな時は、いつも傍に居てくれる恋人。
たった数日会えないだけなのに……凄く凄く寂しい。
気付くと足が左之の部屋の前で止まった。
無意識に左之さんの部屋に来るとか……俺、どんだけ左之さんに会いたいんだよ……。
自虐的な笑みを浮かべ…躊躇いがちに障子を開ける。
…………勿論そこに、部屋の主はいない。
けど……
俺は少し迷いながらも部屋に入り、そっと障子を閉めた。
暗い部屋に明かり取りの窓から月明かりが差し込み、目が慣れてくると部屋の状態が解って来た。
見慣れた部屋の隅に畳まれた布団。
その上に座ってみた。
…………左之さんの匂いがする。
それだけでも落ち着いて行く自分に驚く。
「………って……は?」
……………変化は直ぐに起きた。
何で??俺…何でこんな事になってんの???
俺………どんだけ左之さんに……反応してんの…
自分の身体の中心が熱を持ち、あろう事が緩く勃ち上がって来た。
「う…嘘だろぉ……」
しかし身体は正直で…
何度も心身を繋いだこの場所にいると、耳元で「平助…」と呼ぶ左之の声が聞こえた気がする。
「あ………っ痛…」
更に熱を持ち、下帯に締められているのが辛い位になっていた。
無意識に下半身の衣服を寛げ、下帯を解くと、知らず知らずのうちに右手で自身を掴んでいた。
「うっ……ぁあ…」
そっと上下に扱くと、先走りが右手に纏わりつく。その刺激で更に手が滑る。
―――この手が…左之さんだったら……
左之の布団に横たわり、左之の瞳を、唇を、手を思い出す。
優しくて激しい光を纏う瞳を思い出せば、全身が羞恥で熱くなる。
鼓膜に甘く響く声を思い出せば、脳髄まで痺れる感覚が走る。
熱く大きな掌を思い出せば、いつも与えられる快感が身体を襲う。
「ん…ぁ……左之…さ…」
自身を扱きながら、左之がいつも与えてくれる愛撫を思い描くべく着物の袷から左手を差し入れる。
左之によって快楽を教え込まれた身体は既に高ぶり、誘われる様に小さく主張する胸に滑る。
「ふぁっ……っう……んっ」
左之がする様に…指の腹で潰し、挟み込む。
頭で左之を思い浮かべ、左之に抱かれる自分を夢想すると更に高ぶり、限界が近い事を感じた。
「…あっ…も…イく……左之…さ…ん…」
「………なーに可愛い事してんだぁ、平助ぇ?」