‡捧物処‡
□Confusion day
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な…………
何なんだ、これ――???
ごく普通のある朝。
薄桜学園の寮の一室から、叫び声が2つ響き渡った。
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『今日学校休むから!(b^ー°)』
『本日は体調不良の為、休ませてもらう』
原田と永倉、それぞれの携帯にそれぞれの恋人からのメールが届いた。
「あの平助が休む…ねぇ…。腹でも壊したか?」
原田が銜え煙草で藤堂からのメールを見るその横で
「うわああぁぁあ!体調不良?一体何があったんだああぁぁ!」
携帯を握り締め叫び、土方から雷を落とされる永倉。
―――平助はともかく、あの斎藤が休むのが気になる。
帰りにコイツ連れて寮に顔出すか………。
暴れる永倉を取り押さえながら、原田はひとりごちた。
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「で…どうする、一くん」
「お…俺に聞かれても…」
「だよなー…本当、これどーなってんだよ……」
と、昨日までなかった筈のモノを見つめながら溜め息をつく。
確か自分達は男だったはず。なのに…
朝目覚めたら、何故か胸が膨らみ、見慣れているはずのモノが消えていた。
「それはそうと…俺、腹減ったから、ちょっとコンビニ行ってくる!」
「は?あんたは何を言ってる?」
「何って…だから腹減ったからコンビニに…」
「…その姿でか?」
「やっぱりまずい?」
「あぁ……」
「ちぇっ……じゃあ左之さんに放課後何か持って来て貰おっと」
「左之を…呼ぶのか?」
「俺達だけで考えても仕方ないだろ?第一……」
――新八っつぁんも心配してるから、絶対来るよ…?
先程からひっきりなしに永倉からのメールを受信する、斎藤の携帯を指差す。
「ま…ぁ…そうだな…相談するのは大切だ…」
過剰なまでのメールを受信し光る携帯をギュッと握り、耳まで赤くした斎藤は藤堂から目を逸らした。
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「……で?朝起きたら身体が変化していた…と」
うんうんと、原田が持ってきたコンビニの袋を漁りながら頷く藤堂。
「さ…さいとぉっー!!大丈夫か?!身体が痛いとかはないか???」
「いや、身体、は、何、とも、ない…」
―――むしろ力いっぱい揺すられている今の方が痛い…
とも言えず、斎藤は永倉のされるがままに答えた。
「なーんか…昨夜変わった事なかったか?拾い食いしたとか…」
「拾い食いなんかしねーしっ!変わった事……あ、山南さんに珍しい品だって、寝る前に饅頭貰った!」
「山南さんから?」
「そういえば…俺は化学部の新見先輩から、饅頭を頂いた…」
「「それだ!!」」
原田と永倉は同時に突っ込んだ。
「何でそんな怪しいモンを食うかな…」
「だって凄く旨そうだったから」
「と……ともかく山南さんと新見を連れて来らぁ!!」
原田が溜め息をつく中、言うが早いか新八は、とんでもない速さで寮を飛び出した。
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「なるほど…私の実験は成功した様ですね?」
「いや山南さん…自画自賛してる場合じゃねーって…」
「山南先生、私の方も成功したじゃないですか?」
「こら新見!早く斎藤を元に戻しやがれ!!」
「まぁまぁ永倉先生、ちょっと落ち着いて下さい。今回の実験について説明しますから」
山南さんの話しによると…何の事はない。
山南と新見、どちらが完璧な薬を作れるか…という、至極単純明快な実験だったらしい。
「…で?いつ、このポヨンポヨンしたのが無くなるんだよ?」
「あぁ…それは明日の朝には戻りますから、心配はしないで下さい」
「今回の実験は引き分けですね、山南先生?」
「引き分け?フフフフ…何を言ってるのですか、新見くん。私の勝ちではありませんか」
「な…?何故ですか?」
「藤堂くんと斎藤くんをよーく御覧なさい…何か違うでしょう?」
「……………っ!」
何かに気付いた新見は、その場に膝を付きうなだれた。
「は……?どこが違うんだ??斎藤は相変わらず可愛いし…」
「…………あぁ、なるほどな」
二人の違いに気付いた原田は、一人納得した様に頷く。
「へ…?何が違うの?」
「左之…解ったなら俺達にも教えてくれないか?」