‡薄桜鬼・文処 弐‡
□星のいざない
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「うわあぁぁ…すっげぇ…!!」
夏休みの宿題に星に関するものが出たけど、満天の星空を見た事がないからわかんねぇ…とボヤく平助を連れて、星がよく見えると言う評判の場所へ。
山の中腹にあるその少し開けた場所は明かりも少なく、ただただ星の瞬きが光を放っている。
「え?星多すぎてどれがどの星座かわかんねぇんだけど?」
こんな星空初めて見た!とはしゃぐ平助を、ちったぁ落ち着け?と苦笑いを一つ。
そーいや最近、星なんかまともに見てねぇな…と空を仰ぎ見れば、手を伸ばすだけで星に手が届きそうな錯覚を起こさんばかりの星々。
スゲースゲーと騒ぐ平助を暫く見つめてたら。
「うわっ、左之さん?!流れ星!流れ星
!!」
どうやら初めて流れ星を見たようで、願い事言う暇なかった!と更にテンションの高くなるあいつ。
その後も幾つかの流れる星を見つける度に大喜びしながら俺に笑いかけて来る。
その本当に嬉しそうな笑顔を見る度に、平助を好きだと思う気持ちが増すようで。
夏の暑さとは違う、甘く茹だる意識があいつだけに向いて行くようで。
ガラじゃねーなと思いつつも、流れ星を見つけてははしゃぐ平助の背中を見つめながら
『いつまでも共に…』
とコッソリ流れ星に願い事をしていた。
(終)