‡薄桜鬼・文処‡

□SWEET TIME
1ページ/1ページ

 
 
 
「腹減ったぁ〜!3時のおやつ何かない?」

「何かって…さっき昼飯食ったよな?」

「昼飯って…それ何時間前の話?」

「ついさっきだろーが…ったく…。とりあえずこれ食え」

近くにあった焼き菓子を渡す。
それを嬉々として受け取る平助。


「小せぇナリしてるクセに良く食うなぁ…。どこにそんだけ入るんだか…」

「んぁ?育ち盛りって言えよ」

菓子を頬張りながら、ニコニコと答える。

平助の笑顔に弱い自分を自覚しつつ、コーヒーを二人分入れる。


「ほれ…急いで食うと喉詰めるぞ?」

「あ…ありがと、左之さん」

ミルクと砂糖たっぷりの暖かいコーヒーを受け取る。


渡されたお菓子を一人で平らげ、コーヒーを一口飲む。

「ん〜…」

「何だ?不味かったか?」

不安気に訪ねる左之に、平助が首を振る。

「メッチャ美味いよ。…何で左之さん、俺が欲しい物や好きな物、解んのかなぁ……」

「そりゃあ…いつも平助を見つめてるからじゃねぇの?」


ボッと顔を赤くする平助。
いつも言ってるのに、いつまで慣れないのか…。
ま、そんな所が可愛いんだけどな?



「///……ご馳走様」

コーヒーを一気に飲み干し…まだ赤い顔をしながら、何故か俺を見ている。

…………
可愛い過ぎる。
今すぐ抱き締めてぇ………

と考えていたら……



フワリと平助が俺の首に手を回し、触れるだけのキスをし、そのまま肩口に顔を埋める。

「…左之さん…俺に触れたいって顔してたから…」

固まる俺に、俯いたまま平助が呟いた。

「お…俺だって、左之さんをいつも見てるからさ…。左之さんが何して欲しいか…解るんだぜ……?」




……………参った。
俺の気持ちも全部お見通しって事か……。

そっと平助の背中に手を回して抱き締める。

「ん〜…あったかぁい…」

柔らかい声で平助が呟く。





「………て…おい…平助?」

「ん〜………左之さん…と…お日様…が…気持ち…い……」



……あろう事か
肩に額を起き、スヤスヤと寝息を立て始めた。

おいおいお〜い
腹膨れたら眠くなるって……
どんだけお子様なんだよ…。

でも………
無防備に体を俺に預けて眠る平助が……無性に愛おしい。



「ったく…仕方ねぇな…」

その日当たりのいいソファーで膝枕をして、平助を寝かせる。
前髪を梳きながら、俺もいつしか眠りに誘われた。





菓子より甘い甘い…
平助と過ごす時間………




(了)
 
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ