‡薄桜鬼・文処‡
□過去拍手文
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Deep In My Heart〜我が心に君深く〜
つい激しく抱きすぎるからか…
行為後、意識を飛ばす平助。
もっと優しく…もっと大切に抱きたいのに。
平助を前にすると、途端に理性が焼き切れる。
仕草が、視線が、表情が…全てが俺を煽る。
誰にも見せたくなくて。
触れさせたくなくて。
抱きながら、朱い烙印を平助に落としていく。
全てを奪い尽くしたい俺に、泣きながら…この小さな体全てで…俺に応えてくれる。
何て健気で…何て幸せな時間。
そうして今夜も
俺は平助に……
溺れていく………。
夜の帳が降りた頃、ふと目が覚めた。
先程まで激しく愛し合っていたのが嘘の様に、静かで穏やかな時間。
宝物を扱う様に俺の体を包む腕は逞しく、そして優しい。
少し顔を上げると綺麗な顔立ちの恋人。
男らしくって精悍な顔立ち。
俺を抱く時の左之さんは、ちょっと怖いけど…熱を帯びた、獲物を射止める様に俺を捉えて離さないあの瞳が大好き。
でも…眠ってる時の左之さんは可愛いと思う。
そんな左之さんの寝顔をこんなに近く見られるのも、色んな左之さんを一番近くで見て感じられるのも俺だけの特権。
毎日一緒に居るのに…毎日新しい左之さんを発見する度に……
俺は………
左之さんに
恋してる…………
「…どうした?眠れないのか?」
左之がうっすらと瞳を開け、優しく囁いた。
「ううん…ちょっと目が覚めただけ。ごめん……起こしちゃった?」
「いや…俺もたまたま起きただけだ…」
平助の長い髪を梳きながら小柄な体を抱き寄せる。
「……ッ痛…」
「すまねぇ…痛むか?」
顔をしかめながら、優しく背中から腰を撫でてくれる、温かくて大きな掌。
「ううん……大丈夫」
「もっと優しくしてやりてぇんだけどな…」
「でも俺は…その……激しいの…嫌じゃねぇ…よ?」
「!?」
「そんだけ左之さんが俺を…求めてくれてるんだなって…嬉しくなっちゃうと言うか…」
「っ!お前…」
少しの隙間も許さないとばかりに、平助を強く抱き締める。
「…どこまで俺を溺れさせりゃあ気が済むんだよ?」
「それは…お互い様だろ?」
耳元で呟く左之の首に手を回し、ギュッと抱き付く。
「俺も…左之さんに溺れてる…」
どちらからともなく口付ける。
お互いの想いを込めて………
――我が心に君深く
いつでもあなたを想ってる――
(了)