誓いの光

□第3話:キャプチャ勝負開始
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「えっと、教室と職員室は案内したし、図書室も行ったし……」



校内を案内してくれたリズミは案内した場所を指折り数えてるた。
案内の間、ヒトミは一言も発しなかったがリズミは嫌な顔1つしなかった。
申し訳ない気持ちはもちろんあったがおかげで幾分か気が楽になった。



「あ、そうだ。さっきチャイムも鳴ったし外に……」
「コラ〜!お前達〜!!」
「っ!?」



リズミの言葉を遮り聞こえてきた怒声。
驚きのあまりヒトミは思い切り体を跳ねさせる。
恐る恐る振り返るとそこには……。



「待ちなさい、お前達!廊下は走るなと何度言えばわかるんだ!!」
「相変わらずかってぇな!ってか、注意する点ずれてるし……」
「やべぇって!逃げろ逃げろ!」



真面目なリズミが真面目過ぎと評するミラカド先生。
そして彼から逃げるハジメとダズルの姿があった。



「もう仕方ないわねぇ……。行きましょう、ヒトミさん。
あいつらっていつもああなの。しょっちゅう悪戯とかしてミラカド先生を怒らせてるのよ」
(しょっちゅうって……)



リズミの言葉に驚きつつも素直に頷いてついて行く。
後ろからはいまだにミラカドの怒声が響いている。
ヒトミとしては卒業しても慣れる事はなさそうなその怒声。
それを聞き慣れてる様子のリズミも自分達からそうさせているハジメとダズルも信じられなかった。
真似する必要はないが自分にはとても出来そうにないとヒトミは思った。






「キャプス先生、クリアン先生、ありがとうございました!」



丁寧に頭を下げるリズミにならい慌ててヒトミも頭を下げる。
校舎を出てまず最初に連れてこられたのは少し離れた位置にあったトレーニングルームだった。
そこではキャプチャをキャプスが、ターゲットクリアをクリアンが教えてくれた。
特別授業が終わるとリズミはまだ案内していない場所があるとヒトミを校庭に連れ出す。
その時……。




「あらあらあらあら〜!!誰でもいいからビッパを捕まえておくれよ〜!」




そんな悲鳴が聞こえると同時に数匹のビッパの鳴き声も響く。
2人が慌てて振り返るとそこには先程紹介された世話焼きおばさんを中心にビッパ達がバラバラに逃げ回っている光景があった。



「せ、世話焼きおばさん!?なんだかビッパが大変みたい!」



リズミが焦ったような声を出す。
ヒトミもなんとかしなければと思うもののどうすれば良いかわからず立ち往生してしまう。



「ねえ、ヒトミさん!ビッパ達をキャプチャして落ち着かせてあげて!」
(えぇ!?)



まさかのリズミの言葉にヒトミは軽くパニックになってしまう。
いきなりそんな事を言われても、と思うが確かに放っておくわけにはいかない状況だ。
その時、また新たな声が聞こえる。




「なんか随分と面倒くさい事になってやがるな」
「……っ!」
「ハジメ!?どうしてここに?」
「たまたま外うろついてたんだよ」




ハジメの登場にヒトミは驚いて固まってしまう。
しかし、驚くのはまだ早かった。




「賑やかだと思ったら面白い事になってるな!」
「面白いとか言ってる場合かよ!」




続いて登場したのはダズルとアカリだった。
あまりに展開する状況にヒトミは心中でついていけなかった。
しかしヒトミが1人、ついていけてないのを余所にリズミ達は話を進める。




「ダズル!アカリ!あんた達もキャプチャするの手伝いなさいよ!」

「……ただ手伝うんじゃ面白くない。
名前忘れたけどそこの転校生!それとハジメとアカリとこの俺とでキャプチャ競争しようぜ!」

「……っ!?」
「はぁ!?」




予想外過ぎる展開の続出にヒトミは軽くどころか完全にパニックになる。
今日転校してきたばかりの者に勝負を申し込む者がいる等、予想出来る筈がない。
ハジメはハジメで呆れたような嫌そうな声をあげていた。
しかし、ダズルは最早やる気満々のようだしアカリも乗り気に見える。



「誰がたくさんビッパをキャプチャ出来るか勝負するんだ!」
「同級生の名前くらいしっかり覚えなさいよ!全くダズルったら、もう!競争でもなんでも良いからとにかく早くして!」




(ぜ、全然良くない……!!)




なぜか有無を言わせず勝負する事になってしまっている。
だが、ここで嫌だと言う勇気などヒトミにはなかった。
ダズルはそのままカウントダウンを始める。




「それじゃ行くぜー!

スリー! トゥー! ワン! スタート!」




そしてヒトミの意思とは無関係に勝負が始まった。



 
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