誓いの光

□第4話:ドキドキ!?肝試し(前編)
1ページ/2ページ




「はぁ、疲れたなぁ」



夜。
自分の部屋に戻ったヒトミはようやく一息つく事が出来た。
本来生徒達は2,3人に1つの部屋が与えられる。
しかしヒトミは既に他の部屋が満員だった為に自動的に1人になったのだ。
おかげで1人で気が休まる時間を得られたのは救いだ。
転校初日でハプニングに巻き込まれたり周りに何度も話し掛けられたりで疲れ果てていた。
ただでさえ気が弱いヒトミは1日中オドオドビクビクしていたのだ。
今は唯一気楽な空間である部屋で寛いでいる。
緊張で疲れた体をゆっくり休めていたその時……。



「ヒトミさん!」
「っ!?」



突然リズミがドアを開き部屋に入ってきた。
完全に油断していたヒトミはまた驚き体を跳ねさせる。
なんか今日は驚いてばかりだと思いながらリズミに顔を向けた。



「あぁ、ごめんなさい。驚かしちゃった?」



リズミの申し訳なさそうな声に慌てて首を横に振る。
そして今度は打って変わってニコニコと笑ってヒトミに近寄る。



「ヒトミさん、今日は疲れたでしょ。大丈夫?」



ヒトミが小さく頷くとリズミは良かったとまた笑う。
その笑顔にヒトミは心が温かくなる様な気がした。
今日は一日中嫌われやしないかとずっとビクビクしていた。
その為大丈夫と断言出来ないくらい疲れていた。
だがリズミの笑顔を見るとほんの少しだが安心出来た。



(リズミちゃんはすごいなぁ……)



ありがとうも何も言えない自分に笑いかけてくれるリズミ。
出来る事ならこのまま嫌われずにいたい。



「今日は本当にいろいろあったわよね〜。あ、ヒトミさんは手紙書いたりするの?」



リズミの言葉にヒトミは迷いなく首を横に振る。
手紙とは親しい相手がいて初めて書けるものだとヒトミは思っている。



(私なんかに手紙を書ける人なんて……)
「そっか。私は今日の事両親に書くつもり!ヒトミさんの事もたくさん書こうと思って!」



ヒトミの内心の落ち込みを察したのかリズミは深くは聞かなかった。
そして明るく話し始める。
ハジメやダズルの普段の行いに苦労している事。
アカリがしょっちゅうダズルと喧嘩して収集がつかない事。
そして、その話の中でハジメも実はこの前転入してきた転校生である事がわかった。



(ハジメ君も転校生だったんだ……)



その事実にヒトミは驚きリズミがいるにも関わらず考え込む。
昼間見たハジメのキャプチャは本当にすごかった。
ハジメが転校生なら自分同様に周りより遅れている事になる。
だがハジメは最初から入学していたダズルとアカリにも勝ったのだ。
最もダズルとアカリは互いに足を引っ張ってたので本調子ではなかっただろうが……。
それでも確かにハジメの腕は周りと比べて群を抜いている事はヒトミでもわかった。



「ねぇねぇ、ちょっと外に出てみようよ」
「っ!」



考え事をしていた最中に話を振られヒトミは思わず反射的に頷く。
するとリズミは笑みを深めヒトミの手を引く。



「じゃあ行きましょ!」



何故だがわからないがヒトミはこの時嫌な予感がしていた。
でもそれはリズミに失礼だと首を横に振り掻き消す。
その直感が当たっていた事をヒトミが知るのは数分後の事だった。



 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ