シンデレラガールは走り出す
□episode7
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いやいや、「飲んでる？」って、あたし未成年ですからね。つか、なんで脱いでるの、この人？酔ってる？酔ってるよね、確実に。
去年も酔って脱いでたけど、今年も脱ぐんだね。脱ぎ上戸なんて、聞いたことないけど。
「…陽くん、大じょ「エクストリームパンチ!!」
大丈夫ってかけたかった言葉は、技名と共に遮られた。技名と共に陽くんに体当たり(パンチですらない)した人物は、とっしーである。あなたも酔ってますね。
ってか、とっしーに体当たりされた陽くんがにこにこ笑ってるんだけど、Ｍに目覚めてないよね？ちょっと心配だわ。国民的アイドルが上半身裸でＭに目覚めるとか、危険すぎるよ。
「二人とも大丈夫？」
「「だいじょーぶ(はぁと)」」
はい、大丈夫じゃない。
ひらがな発音で、語尾にハート付けちゃってる時点で大丈夫じゃない。
クリスマスだから、どう楽しもうが個人の自由なのはわかるんだけど、なんかこれの場合見てて見苦しいんだよね。普段の「出来る男」な二人を知ってるから、ちょっとね。楽しんでるのは充分すぎるくらい伝わるんだけど。
さっきまで二人がいた方を見ると、お母さんといちくんが肩組んでアニソンを歌ってた。いや、二人とも上手いよ。でも、その歌声でアニソンってのは聞いてて悲しいよ。いちくんにいたっては、プロだからね。美声の無駄遣いだよ。
「今年は、蛍くんとハルくんが酔ってないのが救いだよね」
ぼそりと呟いたら、「なに、疲れてんの」とハルくんが苦笑いしながら、飲みもののおかわりとパスタを出してくれた。
あさりとネギが効いた、メニューにはない和風パスタは、あたしのお気に入りの一つ。びっくりするくらい上手いアニソンを聞きながら和風パスタを味うのは、なんだかシュールです。毎年の事だし、妙に楽しいからいいんだけどね。
あー…パスタ美味しいわ、ハルくんナイスだわー…とか思ってたら、顔に白い布を被さってきた。何事だと思って取れば、ワイシャツで、隣を見ればとっしーが上半身裸でした。あなたも脱ぐの??今年、脱ぐ率高くないですか??
ちなみに、逆隣の蛍くんはそんなとっしーを見て、唖然としている。うん、あのとっしーが脱ぐとは思わないもんね。
「彗雪さんって、はっちゃける人なんだな」
「はっちゃけるっていうか、ただの酔っ払いだよ」
「言うな」
そう言って蛍くんは、あたしの頭をポンポンと撫でてきたから、お返しに蛍くんの肩を軽く叩いた。お互いを励ます感じに。
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