シンデレラガールは走り出す

□episode7
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「ハルー…俺にもなんか飯ちょうだい」
「パスタがいい??ご飯ものがいい??」
「ご飯で」
「はーい」

慣れた手つきで野菜を刻んでいくハルくんは、簡単にチャーハンを作るみたいだ。ハルくんのチャーハン、ごま油が良い香りで食欲そそるからたまんないんだよね。
パスタ食べながら思う事じゃないけど、つい食い意地が出てしまう。乙女として、どうだろうかあたし。
家事は一通りやってるから、ご飯とかはある程度作れるけど、美味しいかどうかはその人の味覚によるから自信はない。美味しいって思ってもらえるように、今から練習しておこうかな。そもそも、彼氏いないけども。

「なに、考えてんの?」
「んー…、やっぱり料理できないと良い嫁にはなれないのかなって」
「大丈夫、ゆいちゃんは俺の嫁だから」

振り向く前に、抱き締められた。知っている香水の香りと、甘いような苦いようなお酒の香り。
それと、さっきまでアニソンを熱唱していた声が頭の上から聞こえた。

「・・・・・・・・・脱いでないみたいだからいいや」
「脱いだほういい?」
「やめて」

これ以上、店内の肌色率を高めたくない。あたしを抱きしめているいちくんの腕を掴んで、全力で阻止。
というか、ここにいちくんがいるってことはお母さんはどうなってるんだろう。抱きしめられてるから見えないあたしの気持ちを察してくれたのか、ハルくんが「真美さん、寝ちゃったね」と蛍くんのチャーハンをカウンターに置きながら教えてくれた。全く、うちの母は学習能力がないな。

「ねぇ、いちくん離して」
「なんで?」
「パスタ食べたいから」
「却下」

いちくんの言葉を無視して食べ始めれば、上から「ツンデレだねぇ」なんて聞こえた。いちくんは、ツンデレの意味を履き違えてるね。
そのままいちくんに抱きしめられたままパスタを食べ終えて、ハルくんに飲みもののおかわりをもらう。ちょっと食べにくかったけど、慣れたら別にいいやってなってしまった。



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