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□この幸せを噛みしめて
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寝息を立て始めた、
さっきまで泣いていた頬を手で触る。
「馬鹿か、おまえは」
おいてかないで、
そう言った声は震えていて。
ふわふわとした意識をはっきりと覚醒させた。
「あーぁ、なんで俺は那月なんだろうな。」
許されない、
俺がコイツに触れることは。
だって那月だから。
「すき、か」
許されないんだよ
おまえを想うことも
おまえを愛すことも
お前をこの手で抱くことも。
「いま、だけは」
そういって細い体を抱きしめる。
「なぁ、翔、俺はお前がー…」
この幸せを噛みしめて
(言葉に出来ない分、頬を伝う水が想いを伝えた。)