utapuri2

□当たり前なんて初めからなかった。
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誰かが決めた当たり前。













砂月はいつもなにをするか。
翔は気になっていた。

那月の陰とはいえ、性格真逆だから花に水やったりはしないだろう。…あ、でも那月の為にやるか。

「、…ぷっ」

砂月が不機嫌そうに花に水をやる姿を想像してしまい、吹き出すように笑う。

じゃあ料理は作るだろうか。
砂月は意外に器用だ。
まぁ人間関係以外は。不器用所じゃないし。

「ほんっと那月と真逆だなー…」


顔が違ったら誰?って感じ。

ベッドで横たわる那月か、砂月に目をやるとスースーと寝息をたてる。


《那月のなかに、砂月がいる》



それは翔の中で当たり前だった。
当然のことで、
砂月がいない那月なんか想像できない。






でも、いつだって終わりは突然なんだ。










「…え、」

「那月にわたせ、」

「なんでだよ?別にもう分かち合うこと、できんだろ?ー…!?おまえ、まさか、」

「あいつは天然でアホで純粋で、…傷つきやすい。でも、お前だったら那月を支えられる。」

「…」

「ふ、そんな顔してんじゃねぇよ。ばぁか」

「さ、つき…やだ」

「ばか。そんなこと言われても仕方ねぇんだよ。」






じゃあな、翔



そう呟いた砂月は顔を歪めて笑っていた。




「あれ、?翔ちゃん」

「…なつ、き…ひっく」

「え!?どうしたの!?な、泣かないで?」
















当たり前なんて初めからなかった。
(だってそんなものは呆気なく散ったから。)

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