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□いやいや、犯罪だろ。
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好き、
俺だってわからない。













「…好き、か」

『すきをおしえて?』

そう幼稚園児に言われた。


「幼稚園児がそんなこというか…ふつう」

砂月は頭を抱えていた。
砂月だって好きなんてわからない。
付き合ったことはあるが、恋なんてしたことないのだから。

「…あーあ、」

そう言って唯の方を見るとすぅすぅと気持ちよさそうに寝ていた。

「将来美少女になりそうだな。」

翔にそっくりな少女。
唯はきっと相当な美少女になるのだろう。愛らしい、だれにでも好かれそうな顔だ。


「…なんで、俺に言ったんだ、?」

そう呟くと寝ている唯は寝言をポツリ、とつぶやいた。




「おかあ、さん」

唯の頬に涙が伝う。



「…。」

そうだ、唯には翔しかいないのだった。 翔と唯の母親はすぐに病気でなくなったと聞いた。
じゃあ、父親は?

「…愛情を知らないで育ったのか。」

だから、あんなに切ない顔で教えてほしいなんて言ったのか。

「…唯」


なんでだろうか。
胸が締め付けられる様な思いになる。

誰かから愛情をほしい、なんて思ったことなかった。
那月以外の愛情なんていらないと思っていた。


でも、こいつはそれを欲しがっている。



「…教えてやろうか?」



眠っている唯の頬にキスをしてそっと部屋を出た。













いやいや、犯罪だろ。
(…たとえ犯罪だとしても、俺はこいつを愛してみたい。)

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