kurobasu
□魅力的な君は
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いつでも、ずっと好きだった君。
ふわり、と鼻腔をくすぐる香りが漂ってくる
甘すぎず、しつこすぎないー
「あ、桃井さん」
彼女の香り。
「テツちゃん!!」
こちらによってくる、彼女。
とたんに黄色い悲鳴が聞こえた。
「ー…黄瀬くんでしょうか」
「うん、きーちゃんだね。」
廊下を歩くだけで女子の黄色い悲鳴が聞こえるなんて自他ともに認めるイケメン、黄瀬涼太しかいない。
「あ、ありがとーッス。」
『きゃーー黄瀬くーんっ』
『りょーたくぅんっ』
『きゃぁーーー』
『黄瀬くんかっこいい〜』
『あんな彼氏ほしい〜』
『かっこいい〜笑顔がいいよねぇ』
と好評ばかり聞こえてくる。
「きーちゃんの笑顔ってデレデレしてるよね」
「そうですねどちらかというとくずれてま
「あーーーー!!黒子っちーーーー!!」
最後まで言葉を言おうとすると、きーちゃんに遮られるテツちゃん。
抱きつこうとするきーちゃんをうまくかわし、俺の横に来た。
「残念なイケメンだよねきーちゃん」
「私は桃井さんのが紳士的だし魅力的だと思います。」
「テツちゃん!!だいすき〜」
ぎゅーと抱き締めると抵抗せずに腕のなかに収まる可愛いテツちゃん。
「なんで俺のときは避けるのに青峰っちとか桃っちとかなら避けないんスかーーー!?ひーどーいーッスーーー!!」
駄々をこねてメソメソとしだすきーちゃんにテツちゃんは軽くあしらいながら言った。
「黄瀬くんはしつこいんです」
プイッと顔を背けてこちらに向いた横顔を見ると違和感を感じる。
朱に染まったテツちゃんの頬。
(もしかして…)
抱き締められたらドキドキがばれちゃうから
好きだとばれちゃうから。
きーちゃんに、気を使わせてしまうから。
拒否されてしまうから。
(そんなこと、ないのに)
魅力的な君は
(俺じゃない人が好き)
苦しい恋ほど、諦められない。