kurobasu
□小ネタ詰め
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黄黒♀
「二名様でよろしいですか」
にこり、と笑うと女の子は顔をポッと赤くした。ご案内致します、と席に案内してお冷やをだす。
次のお客さんのところに行くと後ろからこそこそと客が話し始めた。
「あれって黄瀬くんだよねー」
「カッコいいー!!」
「なんでここいんだろーね?」
「さぁ?」
スタスタと戻ると誰にも聞こえないようにため息をついて、ポツリと呟いた。
「ー…何でこんなことになったんスかね」
ことの始まりは自分の失態だった。
俺はモデルをやっていてそりゃあもうモテモテだった。
雑誌には表紙を飾って写真集も出したし、握手会も開いて、イベントにもゲストとして参加したり。
最近はモデルだけではなくCMやドラマ、映画にも出演をして、バラエティーには引っ張りだこ。
おまけに身長は高く、運動神経は抜群で頭もそこそこいい。
そのうえ、一回見ればなんだってコピーすることができる。
「黄瀬涼太の!」
「「君のハートにロックオン!」」
「はい!始まりましたね!黄瀬くん」
「そうっすねー♪」
始まった自分の持ち番組を録画してあったのでそれを見る。
うん、今日も完璧だな。
笑顔もカメラの角度も。
すると、電話がなった。
「はい、もしもー…あ、青峰っち!」
受話器の向こうからなつかしい、低音なイケメンボイスが聞こえてきて思わず嬉しくなる。
青峰っちとは、元同中の俺の憧れの人。
バスケ部に所属していて、彼のお陰で俺は本気になれるものを見つけれた。結構強くてキセキの世代と呼ばれていた。
でも俺は色々あってバスケをやめてしまった。
まぁいろいろっつっても女の子関係なんだけど。
「久しぶりッスね、ー…え?あした?明日はちょうどオフッスよー」
「ー…え?わかったッス!!!楽しみにしとくッス!!」
ツーツー
「青峰っちと、明日会える!!!うわぁなつかしい!楽しみッス!」
わくわくしすぎて、遠足前に楽しみすぎて寝れない小学生になってしまった。
「う、ねむいー…」
「おー、黄瀬」
「青峰っち!!久しぶりッスね!!」
にこーっと笑うと頬っぺたを思いっきりつねられた。
「相変わらずのアホ顔だな」
「えー青峰っちに言われたくないッスよ!!」
「まぁいーや、お前に頼みてーことがあんだよ。」
そういうとちょっとついてこいと先を歩く青峰っち。
なんだか昔を思い出した。
キラキラとした、彼との青春を。
「テツー帰ったぞ」
「あおみねくん!」
いきなりあらわれた幼稚園くらいの男の子は青峰っちにピトリと抱きついた。
正確に言うと青峰っちの足に、だ。
「お前の好きなバニラシェイク買ってきてやったぞ」
「あおみねくん、あおみねくん、」
「すみません、青峰くん。」
「く、黒子っち!?」
そこには俺が中学高校とずっと思いを寄せていた彼女がいた。
続きません。