utapuri

□妖精たちの憩いの場
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妖精は存在を否定されると消えてしまうらしい。



母さんから聞いたとき、俺は驚いた。否定をするだけで消えてしまうほど弱い存在。そんな弱いものがこの世に存在するとは思えない。でも俺は、一つ抱いた疑問がある。肯定をすれば、ずっと生きていけるのか。
妖精なんて架空の存在だと思っていたのに…。

アイツと出会ってから、肯定できるかもしれない。
そう思い始めた。



「あーーー!しょーーーうちゃぁあああーん!!!」
「げっ!なつき!!ぐは!ギブギブギブギブ!!」


こいつは脆い。弱い存在だ。
でもこの人格ではなくてー…、


「おい、クソチビ。離れろ。」
「おれじゃなくて!なつきがっ!はーなーれーろー!」


こいつの方だ。強いけれど本当はぜんぜん…

「何で眼鏡外してんだよっ!」

「那月がお前に頬ずりしたときにとれた。」


否定されると消えてしまう存在。

「…。おい砂月」

「…なんだよチビ。」

「勝手に…いなくなんなよ…」

「…、さぁな。」

(本当はうれしいクセに。素直じゃないな…。)


本当は砂月じゃなくて俺かもしれない。


『いらないんだよ』
きっとコイツにそう、存在を否定されたら俺はー…






妖精たちの憩いの場
(呆気なく消えてしまうんだろうか)

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