utapuri
□泣き虫な君の涙
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「おチビちゃん」
小さくて小動物のように可愛らしい、小傍唯。人形みたいな顔立ちは男女ともに惹きつけるものを持っている。
「チビいわないで!」
気にしてるんだから!
とキーキー耳が痛くなるほど可愛らしい高い声で喚く。
「最近ストーカーされてるんだって?」
びく、
と肩をふるわす少女。
その綺麗な水色の瞳は潤んで、なんで、という顔をしている。
「おチビちゃんのことはしのみーの次によく知ってるからね。まぁしのみーは知らないだろうけどね、ストーカーにあってること」
「なんで、知って、」
「なんとなく、かな」
昨日、唯が一人で帰るのを渋っていたことをレンは知っていた。
いつもは那月と帰っているが、ダンスの練習があるらしく先に帰っててほしいといわれたらしい。だいたいレンとつきあっているのになぜ那月と一緒に帰るのか。
唯は見かけによらず男らしいところがあるからそんなの気にしないで一人で帰れるのに昨日はいやがっていた。
『一緒に帰るかい?お姫様。』
『…うん』
そういった唯はどこか不安そうで。
レンと帰るときもどこか落ち着かず、キョロキョロしていた。
『なんだい。久しぶりの恋人との下校なのに、手も繋がないの?』
『え』
ほら、と手を出すレン。
唯はその手を取ると安心したようにふわりと笑った。
『レンの手、おっきいね』
「そっか、気付いたか…」
「大丈夫なの?何もされてない?」
「大丈夫よべつに。レンに心配されるようなことはないもの。」
笑う、
「唯、無理してるね。」
少し驚いたように
でもどこか儚げに笑う唯。
「やっぱ、分かるか、」
「こわいなら、怖いって言ってよ?俺は、唯の恋人でしょ?」
「あ、のね」
安心しきったらしく
泣き始める。
「手紙とか、し、せん…こわい、レン、たす、けて…」
ぼたぼた
「泣き虫だなぁ、唯は」
「うる、さい!」
そういって俺のシャツの裾を摘んだ。
泣き虫な君の涙
(無理はしないで、一人じゃないから。)