太陽の光は降る

□気になる子
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毎朝一人で走っている姿を何度も見てた。
女の子が一人で珍しいと思った。

ふとその話を文次郎にしたら、鍛練が好きな奴なんだろう、感心だな、とか言っていた。
文次郎はそう言うが、学園内で見かけても、特にそんな感じはしなかった。
放課後はのんびり本を読んでいたり、他のくのたまの子たちと話していたり、文次郎みたく鍛練ばかりしているようにはとても見えなかった。

それでも毎朝走っているのが気になって声をかけて。
一緒に町まで歩けば普通の女の子だった。

鍛練が大好きだとかちょっと男らしいとかとにかく立派なくの一を目指して日々励んでいるとか、そんな感じはまるでなかった。

あくまで普通の女の子だった。

一々顔を真っ赤にさせたり、嬉しそうに小さな子どもみたいに笑ったり、それが私の言動で表情がくるくる変わっているのだと気がついたら、いつの間にか落ちていた。


でもまだ好きだなんて言わない。
私の言動ひとつひとつで変わる色んな顔をもっと見たいから。

でも色々我慢しなきゃならない。
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