新選組色恋録
□艷香炉
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「ねぇ…もうちょっとだけ千鶴ちゃんと一緒にいてもいい?」
沖田は布団の中で自分より小さな千鶴の柔らかい体を背後から抱き締めると言った。
「ダメですよ沖田さん…。もう巡察の刻限じゃないですか…。」
沖田に抱き締められた千鶴は僅かに困った顔で沖田を嗜めた。
二人が恋仲になって数ヵ月。
こうやって空いてる時間を見付けては、毎日飽きずに一緒にいたりする。
「…いいじゃん…巡察なんてちょっと遅れたくらいどうともないよ。…そんな事より僕はもっと君と一緒にいたい。」
そう甘く耳許で囁いた沖田は、細い指先で少しだけ隣に寝ていた千鶴の襟元をはだけさせると、その白い項に唇を付けた。
「ちょっ…沖田さん!!本当にダメです!!」
抵抗する千鶴の両腕を後ろから覆い被さる様にして抑え込む沖田。
「…巡察をさぼってしまったら、こ、近藤さんが悲しみますよ!?」
その千鶴の一言に今まで何を言っても我関せずだった沖田の動きが止まった。
「君って…。」
沖田が目を細めながら言う。
「割と腹黒いよね。」
「そ、そんな事…!!」
反論しようとする千鶴の唇を沖田が己の唇で塞いだ。
「何が違うの?僕が何を言われると弱いか、君は解っててそういう事言うじゃない?それって腹黒いって言わない?」
「…。」
不意に唇を奪われた千鶴は返す言葉もなく、赤面しながら俯いた。
「ははっ。可愛いなぁ千鶴ちゃんて。急に接吻されて照れちゃったの?もう何回もしてるでしょ?…それに…。」
沖田は声を潜めて千鶴の耳許に顔を近付けた。
「…僕達もっと凄い事毎日してるのに。」
「…○×△☆っ!!」
もう声も出せない千鶴の反応を楽しそうに一瞥した沖田は千鶴から身を離し、う〜んと伸びをして立ち上がった。
「さてっと!!…そろそろ行こうかな。千鶴ちゃんも相手してくれないみたいだしね。」
そして夜の巡察に向かうべく腰に刀を挿し羽織を羽織ると戸口で千鶴の方を振り返り言った。
「この続きは帰ってから…ねっ?♪」