白と椿
□青空のシアター
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夜に変わろうとするオレンジと紫を眺めながら、銀は己の道を見失っていた、二人が再開したあの日からずっと、ゲンマは難しい顔をしている。たまに口を開けば雪菜の事ばかり話して。
『銀、なんであの子はあんな風に笑えるのに、悲しい顔をして音影をしてたんだろう』
記憶を抹消したのに、何故
この男は必死に、記憶の中にある違和感の正体を探しているのか。
俺は、雪菜の意志を尊重してるつもりなだけで、雪菜自身を救う手立てなど何一つ・・・。
「銀、ちょっといいか」
銀に放しかけたのはライドウだった。
「貴様がこの俺に話なんて珍しいな、木の葉もずいぶんこの戦争に熱心だが、俺はお前らの肩をもつつもりは無いぞ」
鼻にシワを寄せ威嚇をしてみせた
「じゃあ雪菜ちゃんの肩ならもつか?」
「なんだと」
ライドウは銀の向かいに膝をつくとまっすぐな目をして話し始めた。
「お前やゲンマが雪菜ちゃんを思うように、俺だって小菊を守りたいと思っている。今俺たち木の葉が音隠れを、あの二人を救う鍵を握っているのはお前だけだ。力をかしてくれ、悪いようにはしないから」
こいつもゲンマと同じ顔をしている、自分の非力さを感じながら必死に探して・・・。
「お前らに何ができる」
「何もできないかもしれない」
銀は尻尾をコンクリートにたたきつけライドウを観察した。
「それでも、何かせずにはいられないんだ。何もしないまま彼女達が傷つくのをみたくない」
グッとこらえては噤んだ。今の自分に何ができるかを探っている。
「・・・良いだろう。交換条件だ」
猫がニヤリと笑う、何もせずに今を生きるくらいなら・・・
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