白と椿
□私と私
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「私が血を浴びて、皆が幸せでいられるなら、どれだけ血に染まっても構わない。」
音は、金さえ払えば大名殺しも小国も消す、強大な力をもった小さな隠れ里
どの里とも同盟を結ばずに孤立する、敵にも味方にもしたくないと、近年警戒レベルの高い、恐れられた一族だ
里の中には、そんな傭兵のような生き方に、疑問を抱く者が存在するのもまた確か、
霞もまた、そんな生き方に満足しない日々が続いている
「力があるというのに五大国や小国から良い様に使われて、君はそれで良いの?」
力は使うために、自分のためにあると霞は言う
「何故?このままではいけない?」
椿は、それを否定するようにあきれた顔で笑った
「僕と君の力があれば、五大国さえも支配できる」
「支配…か」
同調せず、椿がそれを馬鹿にしたように笑うと、
霞は舌打ちをした後、腰につけたを刀を抜いた
このままでいい、誰かを支配したところで何が得られるというのか、
そんな気持ちなど分かるはずがなく、男は刃をこちらにむけている
「答えろ椿!もう時間が無いんだよ…」
「時間…?」
「僕達と来て?三代目のやり方が気に入らない奴らと手を組み、新たな音を築くんだ」
その時、里の方角から、爆発音が聞こえた
「霞・・・お前」 振り返ると霞は得意げな顔をしていた
「僕達は、こんな所で燻ぶっていたく無いんだよ。異論があるなら、僕を殺してみる?」
「…じゃあ、やってみようかな」
(里を壊す、反逆者、か)
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