白と椿
□移り変わり
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白は、自分の価値を道具として見出して生きて。そして最後は大切な人を守る為に死んでいった
里の皆は、私を責めるだろうか。何故、里を取り戻そうとしなかったのかと
白と黒の境界線で、暗闇の向こうから、無数の目が、コチラをじっと見つめ、手を伸ばしてくるのが見える
「皆・・・」
−タスケテ−
−ドウシテ、タスケテクレナイノ−
「だって、私にそんな力はないもの・・・」
反対側にある光の中で、木ノ葉の皆が、ゲンマが笑っている。
雪菜は暗闇から目を背けると、真っ白な世界の方へ近づこうとする
−ニゲラレナイ−
−ヒトリボッチ、ニゲラレナイ−
−オマエニ、イバショナンカナイ−
−タスケテ−
−タスケテ雪菜−
真っ黒な手が雪菜の足首をつかむと、それを合図に一斉に他の手が背後から無数に雪菜を掴んだ
ずるずると境界線から、黒の方へと引きずられると。ゲンマが笑って「帰るぞ?」と声をかけ、反転し白の世界へと進んでいく
「おいてかないで・・・ゲンマ」
私を、一人にしないで。
−オイテカナイデ、雪菜−
「ボクがここにいるよ?」
瞬きをすると、ゲンマが霞へと変化した。真っ白の背景に、真っ黒な服が映える
そしてそれを真っ黒な指の隙間から見ると、霞が手を伸ばし、雪菜の胸に手をあて、まるで心臓でも掴むかのように貫通したのが見えた
緑色のもやもやを掴みだすと。それは彼の手の中で星の光みたくぱちんとはじける
闇が顔を覆うと、視界が真っ暗になった
−雪菜−
−ココハトテモサムイ−
「嫌、嫌、嫌、嫌!」
「雪菜?」
「私をほっといて…お願い」
「雪菜!!」
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