白と椿
□ワタシノナマエ
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朝が近い日の出前の真っ暗な5時、ライドウの寝顔を見つめながら、小菊はふさふさの金髪に指をさして遊んでいた
(ヒヨコ頭・・・)
その子供みたいな寝顔の頬を指でなぞると、こめかみにキスを落とした。
小菊は満足したようにベッドから立ち上がり、服も着ないままシャワーを浴びにお風呂場へ
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二人のマンションの上で、町の明かりが消え、残った繁華街の明かりを見つめていると。
小菊がだぼだぼのトレーナー一枚をはおって、タバコをふかしながらヒールを鳴らし近づいてきた
「ずっと待ってたの?」
「お取り込み中みたいだったから、なんとなく入りづらくて」
「ついに・・・動く時が?」
雪菜の姿をみて、何よりも先に思うのは里の事
「分からない、私はどうしたらいいと思う?」
振り返りもせず聞いた
「里の為に、ここで忍になってすこしづつ水面下でうごいてたの
20数名の音の仲間が貴方の名で動くわ。真の四代目襲名と共に・・・音の四代目はこの俺だと、部外者で固めた里を支配してるあの男を」
「殺すため?」
「もう力が無いなんて言えない。そうでしょ?」
今は、もう、チャクラが使える・・・
「私は・・・、ここが好き。」
木ノ葉の風が雪菜の長い髪をなでた
「皆優しくて、私が人殺しだなんて忘れてしまう位」
「雪菜・・・」
「音に居たときは、皆私をしらんぷりしてた。必要なときだけ名前を呼んで、戦場以外の私は透明人間。誰も見てくれない」
「それはっ!・・・皆が」
「皆が私を無視しろって?ここの人たちは私を見てくれる。私は、あの里を守る意味があるの?」
「違う・・・、私にとって、あなたは雲の上の人だったの」
「いとこ同士なのに?」
タバコを落とすと、目の前が歪んだ
「物心ついた時からあなたと比べられてきた。どんなに努力しても雪菜には、椿には追いつけない、そんなあなたに・・・話しかけるなんて出来るわけ無いじゃない・・・・・・・・・だけど」
「だけど?」
「私がこの里に来たら、皆が白い目で見たの・・・。音の里の忍は信じられないって、最初の二年は皆、口も聞こうとしなかった」
息がつまって窒息するかと思った、皆が見ていても見えないフリ、自分を消してしまいたくなる。誰も境界線を越えてこない、それでも胸を張って前を見たけれど
耐え難い時間、それでも立っていられるのは彼が居たからだ
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